52年ぶりに鹿児島で開催された全国和牛能力共進会。和牛に人生をかけた生産者たちが競い、数々のドラマを生んだ5日間を振り返ります。
(開会式 鹿児島県の出品者代表・森義之さん)
「和牛こそわが人生と、和牛に全人生をかけた全出品者と愛する牛たちとともに、大会期間中、輝きを放ち続けることをここに誓います」
大会には過去最多となる41道府県から出品。前大会で鹿児島が1位に輝いた総合順位は今大会では廃止されたものの、9つの審査区のトップと種牛・肉牛のそれぞれの部の最高賞にあたる内閣総理大臣賞を目指し、鹿児島からは24頭が出品されました。
【特別区】
若い世代を育てようと新設された高校・農業大学校の部に出場した県代表・曽於高校。堂々と発表を終えたように見えましたが、終了直後…涙を流していました。
実は、舞台裏では発表で使う予定だった動画が表示されないトラブルが発生していたのです。
(曽於高校 徳重美南海さん)
「やりきったけれど、ここがっていうのがあって。後悔があった。それからの涙」
(特別区の結果発表)「254番、鹿児島県」
それでも、一生懸命世話した「しえな」の審査と合わせた総合評価でトップを獲得。悔し涙は、うれし涙に変わりました。
(曽於高校 徳重南海さん)
「思った表現ができず、不安で仕方なかった中、こういった成績を取れたし。しえなの魅力を出せたのが1席になれたんだと思っている」
【1区・若雄の部】
(1区の結果発表)「出品番号9番 鹿児島県」
1区では前回5年前の宮城大会に続き、県肉用牛改良研究所が1席を獲得。プレッシャーをはねのけました。
(県肉用牛改良研究所 西浩二室長)
「もう。うれしいしかない。みんな、頑張ってくれた」
【4区・繁殖雌牛群】
3頭1組で競う4区の出品者の1人、霧島市の藤山粋さんは元ホストという異色の経歴の持ち主です。
(4区の結果発表)「出品番号136から138番、鹿児島県」
4区で1席を獲得した瞬間、関係者と喜びを分かち合いました。これまで苦労もあったという藤山さんの妻・美佐さんの目には涙がありました。
(藤山さんの妻・美佐さん)
「もう、うれしいのひと言しかない」
(藤山粋さん)
「47年間生きていて一番幸せ。皆さんが声をかけてくれるし、頑張れのひと言、ひと言が身に染みて。きょうの涙につながった」
【6区 総合評価群(種牛群・肉牛群)】
種牛・肉牛、計7頭で競う花形・6区では県勢が初の総合トップに。
【生産者の家族】
大舞台に挑んだのは生産者だけではありません。家族たちも祈るような気持ちで大会を見守りました。
(6区(種牛の部)に出品した鶴田洋行さんの義母・野尻野きぬ子さん)
「うれしい。ここに来れたっていうだけで」
(3区(若雌の部)で引き手を務めた落合裕介さんの妻・綾さん)
「誰もが憧れる大舞台に立っている(夫の)姿をすごく誇りに思う」
【5区 高等登録群】
親子3代を評価する5区・高等登録群に出場した鹿屋市輝北町の宮園春雄さん(87)は、牛を育てて62年のベテラン。妻のムスビさん(83)と一緒に、5頭のメス牛を育てています。
(宮園春雄さん)
「こんな牛舎でも育つ。愛情を込めて育てたら牛がお礼を言う」
(宮園ムスビさん)
「やめたいと思ったことはない。かわいいから」
(獣医師の川井田隆志さん)
「たぶん、全国で一番になる。間違いなくなる」
今回の大会には、「最初で最後」との思いで臨みました。
(5区の結果発表)「出品番号184から186番。鹿児島県」
夫婦二人三脚でつかみ取った「日本一」です。
(宮園春雄さん・ムスビさん)
「最高の日」「焼酎があるから元気」「焼酎がうまいかも」
全国の猛者たちと競い合った5年に一度の大舞台。愛する牛たちとともに全力を出し切った生産者たちには、笑顔がありました。
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