吉永小百合さんも標的に

一方、若い女性の有名人を狙うのも草加次郎の特徴のひとつで、歌手の島倉千代子さん(当時24歳)や、吉永小百合さん(当時18歳)の元にも爆弾や脅迫文が届きました。吉永さんに届いた脅迫文には「現金百万円を用意しろ」と受け渡し場所まで指定されましたが、結局犯人は現れませんでした。

吉永小百合さんがターゲットになったときは、自宅前が大騒ぎとなりました。

また、これ以外にも、鰐淵晴子さん(当時18歳)や、桑野みゆきさん(当時21歳)なども標的とされていたのが分かっていますが、犯行内容は「脅迫のみ」。この点では一種の愉快犯とも思えました。

政治的主張は「ありそうだが、不明」

動機の解明は難航しました。
声明文の内容から、金銭目的ではなく、社会に対する抗議や反体制的な動機があった可能性も指摘されましたが、では特定の政治的主張や明確な要求があるかといえば、それはなかったのです。

捜査は、声明文の筆跡鑑定、爆弾の製造方法の分析など多方面から進められました。火薬に詳しい者や爆弾マニアなど約9,600人をリストアップして、理工系で爆弾知識を持つ人物を洗い出したりもしました。しかし、決定的な手がかりは見つかりませんでした。

警察はのべ1万9,000人もの捜査員を投入したといいます。