「教室になじめない」や「友人関係に不安」があるなどの理由で、不登校の子どもは年々増えています。こうしたなか、普天間中学校では不登校対策などを目的として、地域で働く人を招いた取り組みが行われています。

▼生徒「(普通の教室は)ワイワイできない。しっかりしていないといけない。たんぽぽ教室に行ったら皆が優しいのでちょっとだらだらできる。気が楽」

宜野湾市立普天間中学校。それぞれのクラスから離れた場所にあるのは、教育相談室の「たんぽぽ教室」です。ここに通うのは自分のクラスに通うことに悩みを抱えた生徒たち。たんぽぽ教室では、みんなで一つの科目を学ぶのではなくそれぞれのペースで自主学習を進めます。また、三線の師範や着物の着付けの先生など地域で働く人たちとの交流を通してコミュニケーション力を磨きます。

▼普天間中学校 榮葉子 校長「言いたいけど言えない。心の中でたくさん葛藤している。それを表現できる場にしてあげたい」

普天間中学校で「たんぽぽ教室」に通うのは、1年生から3年生までの25人の生徒たちです。

▼普天間中学校 榮葉子 校長「将来こんな仕事もあるよねとか、そういう人にあこがれるなという刺激を子どもたちに与えられることが一つのいい機会じゃないかと思って立ち上げました」

普天間中学校 榮葉子 校長


▼講師 仲山香緒利さん「こねて作るとこからやりたいと思います。焼きまでやっている間にこねるところをやりたいと思います」

この日、行われたのは「パン作り体験」パン作りの指導資格を持つ仲山香緒利さんが、講師として招かれました。

▼講師 仲山香緒利さん「全く、初めましてなのですが一緒に何かを取り組むなかで、子どもたちのいろいろな言葉が拾えて、表情が変わっていくのが見られていい取り組みを普天間中学校はしているなと思ったので(参加した)」

パン生地をこねて思い思いの形に整えていきます。時間を置いて発酵させたらチョコレートを生地の中に入れて焼き上げます。コミュニケーションを生み、好奇心を高める体験学習。生徒たちの「表現の場」にもなっています。

▼生徒「家で本格的な(パンの)つくり方をしたことがなかったので、楽しかったです」「うれしい。これを通して地域の人と話せるようになって大人とも話せるようになって、クラスメイトとも話せるきっかけができたので楽しい」

こうした、たんぽぽ教室の取り組みを通して、今年度は3人の生徒が元の教室に戻っていきました。

▼講師 仲山香緒利さん「子どもたちの表情が朝会った時と全然違っていてすごくにこやかに朗らかになって、発言もいっぱい聞けたのでやってよかったと思っています」

▼普天間中学校 榮葉子 校長「人とのコミュニケーションやキャリア教育として地域の専門の方々から得たものを自分の将来に役立ててほしい。小さな集団ですので自己肯定感を高めるような自分を大切にできるような子どもを育てていきたいです」

地域で働く人を招いた週に1度の体験学習。ここでの出会いと学びが生徒たちの未来に繋がっています。