検察は「強い殺意に基づく殺害 失われた命は重い」

検察は、母親は生後10日の、タオルを払いのける身体的能力もない乳児の鼻と口を濡れたタオルで覆う殺害方法をとったことから、死亡させる危険性は極めて高く、強い殺意があると指摘しました。

また、健康に成長し、何の落ち度もない赤ちゃんが唯一の保護者である母親から裏切られ殺害されたと非難しました。

さらに、行政を頼らないと安易に決めて相談せず、赤ちゃんの生育ができないと安易に判断したとしました。

犯行の背景に、生まれ持った障害特性があったとする医師の証言をふまえても、出産直後のパニックの中で殺害を選択したわけではなく、殺害に至る経緯・動機に衝動性はうかがえない。

当初は赤ちゃんを生かすことを考え、赤ちゃんポスト行きも検討し、そのための資金を確保するなど計画できていたことから、詰めの甘さはあっても計画的な行動がとれている。

援助を求められなかったのではなく求めたくなかった結果、犯行に至ったと指摘しました。

この裁判は、事実関係に争いがなく、争点は量刑でした。検察側は、懲役7年を求刑。

一方、弁護側は、殺人について「同じような事案と比べて残虐などとは言えない」死体遺棄については「子どもへの想いが残っている」とし、「狭く短絡的な思考に障害特性の影響があることなどを考慮せざるを得ない」などとして、懲役3年にすべきとしました。