自閉症の療育に尽くした河島淳子さん 演じたのは檀ふみさん

河島さんは、岡山大学医学部を卒業後、医師として働きながら育児と家事を両立しました。しかし、3人目に生まれた長男、高浩さんには重度の自閉症=先天性の脳機能障害がありました。

河島さんは、高浩さんが社会で生きるために必要な力をつけるトレーニング=療育に力を尽くしました。言葉の意味が伝わりにくい特性がある高浩さんに、手作りの教材で、丁寧に繰り返し教えたといいます。

(河島淳子さん)
「中学校で習うことは教えておこうと思って」

河島さんの献身的な療育で息子の高浩さんは、洋裁師として仕事を請け負うほどの技術を身につけました。河島さんは、その経験をいかして石村嘉成さんをはじめ多くの人の療育に力を尽くしたのです。

石村嘉成さんは幼いころ、河島さんが主宰するトモニ療育センターに通いました。その当時の映像が残っています。
河島さんは、泣きわめく嘉成さんを前に、静かに語っていました。

「できること、興味があること、分かることになるとぱっと泣き止むというのは、そこを勘違いすると引きずられる。劇的に変わる」

映画「青いライオン」で河島さんを演じたのが檀ふみさんです。セリフは、河島さんの療育を忠実に再現するため河島さんが全て目を通しました。

河島さんは、「こんなの言わないね。困ったもんですね」とダメ出しすることもありましたが、「非常に端的に事を運んでいく。内面が表せるかどうかなんです」
というアドバイスも。

映画「青いライオン」の河島さんのセリフには、どの言葉にも信念が込められているのです。

檀ふみさんは、その意思を汲み、セリフを一言一句変えずに演じました。河島さんは、そのことを最期まで喜んでいたといいます。

石村嘉成さんは、天国の河島さんに誓いました。

(石村嘉成さん)
「河島先生、長い間ありがとう。厳しい療育、本当にいろいろお世話になりました。これからも皆さんに感謝の気持を込めて笑顔を大切にして頑張っていきたいと思います!」

河島淳子さんという大きな存在を失ったいま、遺された者として何ができるのか、石村和徳さんは考えています。

(石村和徳さん)
「本当に困っている親御さんが相談に来られたら、一日も早く河島先生に相談することを薦めてきました。これからはそれができなくなります。河島先生の想いを決して途切れさせないように、我々ができることは精一杯伝えていきたいと思っています」

映画「青いライオン」を制作したRSK山陽放送は、河島淳子さんの想いを映画を通じて、これからも届けていきたいと考えています。

映画は、4/6現在、岡山メルパ(岡山)、TOHOシネマズ新居浜(愛媛)、J MAX THEATER(富山)で上映中で、11日からkino cinema横浜みなとみらい(神奈川)、18日から長野千石劇場(長野)で公開されます。