命の大切さを伝える講話 加害者を作らない社会へ

「私は皆さんに、私の娘のような目に遭わないように気をつけてくださいね、と言いたいのではありません。」

学校での講演の終盤、新原さんは生徒たちにある問いかけをする。娘の事件の加害者が、中学生、高校生だったころにどんなふうに過ごしていたか、想像して考えてみて欲しいという問いだ。

「娘の事件の加害者は、高校を中退し、引きこもりになったと言いましたが、皆さんなら、その人がどんな中学、高校時代を友だちと過ごしていたのだろうと想像しますか?いじめられていたかもしれない、無視されていたかもしれない、一人ぼっちになっていなかったでしょうか?クラスのみんなと、楽しく生活していたと思いますか?」

加害者は最初から加害者として生まれ育ったわけではない。清加さんの事件では、加害者の「孤立」が事件につながった部分もあったのではないか…そう新原さんは考えている。

誰かの未来を変える 加害者になる人をつくらないために

学校では、「いつか加害者になる人をつくらないため、孤立する人をつくらないようにしてほしい」というメッセージを送り続けている。誰かの未来を変えられるのは、今話を聞いている子どもたちかもしれないのだ。

「私たち被害者が願うのは、加害者を作らない社会です。そのために今できること、偏見を持たず、友達として思いやれるクラス、学校づくりをしてほしいと願うのです。今皆さんの日々の学校生活の中で、すでに加害者を作らない社会生活は始まっているんだということを、決して忘れないでいてほしいと思います。」

2021年に届いた手紙…生きていくことの意味

清加さんが他界して10年となった2021年、驚く出来事があった。家に一通の手紙が届いたのだ。