「第76回近畿高等学校ラグビーフットボール大会」が開幕。花園でも数々の名勝負を演じてきた全国有数の強豪校、東海大大阪仰星と京都成章が1回戦から激突しました。

 先手を取ったのは、前半風上に立った京都成章。関崎大輔監督が「(去年の京都大会決勝で京都工学院に敗れて)他のチームより2か月早くスタートを切れた分、覚悟を持ってしっかりとチーム作りができた」と語ったとおり、FW・BKともに規律の取れた動きで主導権を握ります。

 立ち上がりの仰星の攻撃をしっかり受け止めて逆襲に転じると、相手スクラムにプレッシャーをかけてペナルティーを誘発。テンポ良くボールをつないで仰星陣内深くまで攻め込みます。そして前半10分、SO岡元聡志選手の正確なキックパスを受けたWTB篠颯太郎選手が、LO柿本健吾選手との見事な連携で仰星ディフェンスを突破しトライ。ゴールも決めて7点をリードします。

 先制点で勢いに乗った京都成章はさらに18分、再びSO岡元選手のキックで敵陣深くまで攻め込むと、今度はFW陣が執拗に縦を突いた後、判断良くボールをさばいた岡元選手からパスを受けたCTB森岡悠良選手がトライ。森岡選手が自らゴールも決めて14対0とリードをひろげました。

 一方、京都成章の勢いの前に、前半は受け身に回る場面が目立った東海大大阪仰星。20分を過ぎたあたりから、徐々にペースをつかみます。湯浅大智監督が「(1月7日の)花園の決勝では、桐蔭学園さんに基本プレーの大切さを教えられた。新チームでは、とにかく基本プレーを大切に繰り返し練習してきた」と語ったように、一人一人が成章の激しいタックルを受けながらもしっかりとボールを確保して攻撃を継続していくと、仰星らしいグラウンドを広く使った展開で徐々に成章陣内に攻め込んでいきます。そして25分、ペナルティーからの早い仕掛けから、最後はFL西絃太選手が中央にトライ。ゴールも決めて、14対7とワンチャンスの差に迫り、前半を終了しました。

rugby3.jpg

 サイドの変わった後半、風上に回って優位に試合を進めたい東海大大阪仰星。しかし、先にペースをつかんだのは京都成章でした。岡元選手の逆風をものともしない精度の高いキックで着実に前進すると、FW陣が奮起。仰星FWにプレッシャーをかけながら、じわりじわりと前進していきます。そして後半10分、トライラインまであと5mの位置まで攻め込むと、FW陣がモールを押し込んだ後、再び岡元選手が大外にキックパス。このパスにBK陣はもちろん、FW陣も素早く反応します。WTB篠選手の突破は止められますが、FWの素早い集散で攻撃を継続すると、最後は岡元選手自らが判断良く仰星ディフェンスのギャップをついて右隅にトライ。19対7と貴重な追加点を奪いました。

 勝負の流れを引き寄せる貴重な追加点を奪った京都成章。このまま勢いに乗るかと思いましたが、さすがは東海大大阪仰星。この後、フレッシュなメンバーを投入して必死の反撃を試みます。そして20分過ぎ、京都成章が犯した不用意なペナルティーからチャンスをひろげると、トライエリアまであとわずかという位置まで迫ります。京都成章の厚い壁に跳ね返されながらも素早くボールをリサイクルし、何度も何度も粘り強く攻撃を仕掛けていく東海大大阪仰星。22分、ようやく京都成章のディフェンスをこじ開けます。NO8米谷翔馬選手が、力強い突破で中央にトライ。ゴールも決めて19対14。ついにワンチャンスで逆転可能な点差まで迫ります。

 ロスタイムも含めて、残り時間は約10分、ここからは両チームの勝利への執念がぶつかり合います。勝負を決めるダメ押しのトライを狙って、直後のキックオフから勢いよく攻め込む京都成章。対する東海大大阪仰星は、全員が体を張ったディフェンスでしのぎます。自陣の22mラインの内側まで攻め込まれますが、このピンチを切り抜けると、自陣の深い位置から逆転を狙って仕掛けていきます。ミスなくボールをつなぎながら、徐々に前進していく東海大大阪仰星。それでも伝統のピラニアタックルに象徴される固いディフェンスが持ち味の京都成章も決して陣形を崩さず、東海大大阪仰星に大きなゲインを許しません。最後はハーフウェイライン付近まで押し戻されますが、仰星の反則を誘ってついにボールをもぎ取ります。京都成章がこのまま粘り強く攻撃を継続して、ついにノーサイド。最後まで目が離せない手に汗握る熱戦は、19対14で京都成章が勝利。見事、2回戦進出を決めました。

 「この時期に仰星さんと戦えたこと、そして結果がついてきたことは大きな財産になった。チームが成長できるきっかけをいただいた」と語った関崎大輔監督。ゲームキャプテンを務めた岡元聡志選手も「サニックス予選会での優勝に続いて、この勝利はとても自信になった。このチームで京都の優勝はもちろん、花園での全国大会優勝を狙いたい」と話しました。

 一方、「真面目にしっかりとやる、今年のチームの良いところと悪いところがでた。相手の動きややり方を見てどう判断するか、まだそこまで(チームが)たどり着いてなかった。ただ、新チームが始まってまだ1か月。ここから忙しくなる。だからこそやりがいもある」と話した東海大大阪仰星・湯浅大智監督。関西を代表する両チームの一戦は、期待にたがわぬ大熱戦。両チームが、さらに強くなるきっかけを与える試合となりました。