2月11日、サンデーモーニングのスポーツコーナーを担当する唐橋ユミキャスター(50)が宮崎県で行われていた巨人キャンプを訪れた。およそ20年ぶりに訪問したプロ野球キャンプで、昨年の0勝から復活を目指す田中将大(36)と彼を支える首脳陣を取材した。
まず最初に話を聞いたのは、キャンプ初日から「縦振り」のフォームを徹底指導する久保康生コーチ(66)。独創的な指導法で「魔改造」の異名を持つ名コーチで、その表情は田中への指導中と同じように終始穏やかだった。
唐橋:ここまで田中投手はどうですか?
久保:順調にきていますよ。何が順調かって分からないけどね(笑)
唐橋:指導の様子がすごく和やかですね?
久保:スポーツは楽しいですからね。
唐橋:褒めて育てる?
久保:別に腐すこともないし。良いところは良くて、上手くできないところは「ちょっと違うな」と。もう、普通に。
唐橋:フォームの完成形まで、今はどのあたりにいる?
久保:それはゲームでの良い成績が出た時。そしてそれが何年か出た時。それが彼の復活と言えるんじゃないですかね。今は全然普通に投げられていますので、あとはどのくらいの日にちのスパンで強度が上がってくるかですね。
そして「楽天のエース・田中将大」と対戦経験のある2人、内海哲也コーチ(42)と杉内俊哉コーチ(44)の2人にも話を聞いた。まずは、内海コーチ。
唐橋:チームに馴染んできた?
内海:初めはよそよそしいというか「まだ慣れていないな」という感じがあったんですけど、投手会でみんなで焼き肉食べたくらいから打ち解けた感じがします。
唐橋:だんだん表情も和やかになってきましたよね?
内海:今日(11日)なんか自ら特守に入ってきたり、精力的に動く姿も見られるので本当に楽しみにしています。
唐橋:他の投手に与える影響は?
内海:やっぱりスーパースターなので、若い選手もどういう行動、どういう練習をしているのか常にチェックしていると思いますし。
本当に野球に真摯に取り組んでくれているので、「良い影響しかない」と思います。
唐橋:フォームの変化については?
内海:1月にジャイアンツ球場で初めて見たんですけど、「前のマー君じゃないな」というか、フォームがギクシャクしているというか、「大丈夫かな?」という印象があってキャンプインして。それから久保さんと二人三脚でやっていくうちに、フォームがスムーズにリズムよく投げられるようになってきたので「久保さんすごいな」と。完全に2013年に日本シリーズで対戦した「シーズン24勝0敗のマー君」に戻った感じがしています。
唐橋:ありがとうございました。
内海:あれ?もうちょっと喋れることあるのに(笑)
続いて杉内コーチ。
唐橋:田中将大投手をどう見られていますか?
杉内:スーパーピッチャーですよ。すごいピッチャーが入ってきたな、と正直思いましたね。何回も対戦していますからね。僕がほぼ負けていますけど(※6試合で田中投手の4勝、杉内コーチの1勝)。球界を代表するピッチャーが入ってきて、若い衆は吸収しようと話しかけているはずなんですけどね。まだ話しかけてないかな?恐れ多いのかな。
唐橋:何を期待しますか?
杉内:200勝は通過点だと思っています(※田中は200勝まであと3勝)。ケガさえなければ10勝はできるはずなんですよ。5~6勝で終わるようなピッチャーじゃないんで。普通通り投げてくれれば、ウチは7回以降のピッチャーが強いので、5回~6回くらいまで勝ち試合を持ってきてくれれば勝ち数はとれると思うので。
さらに昨年12月に「ご意見番」として出演頂き、田中復活に太鼓判を押していた桑田真澄二軍監督(56)。インタビュー室のドアを開けて唐橋キャスターを見つけると「あ、すみません、部屋を間違えました・・・」と去ろうとして場を和ませた。
唐橋:田中将大投手の印象は?
桑田:ニュースの映像やタブレット端末でしか見ていないんですけど、元気で球数も投げていますので、順調だなと思って見ています。
唐橋:フォームの改造については?
桑田:197勝しているピッチャーですから。少しの「気づき」があれば僕は上手くいけるんじゃないかと思っています。
唐橋:久保コーチとは何かお話を?
桑田:久保さんとはよくコミュニケーションを取って、どういう風に進めて行くかは把握しています。僕がいなくても恐らく大丈夫だと思うんですけど、何か困ったことがあれば少しアドバイスできたらと思っています。
唐橋:他の選手に与える影響は大きい?
桑田:日本でもメジャーでも実績を残していますし、素晴らしい経験をしているので若手はみんな「話を聞きたいな」とか彼の背中をみて「こうしなきゃいけないな」と良い教材になっていると思います。まあそうは言ってもプロは勝たなきゃいけないので、しっかり結果を残して後輩たちの先生役になってもらえたら嬉しいと思っています。
最後は田中将大にもインタビューを行った。
唐橋:久保コーチとの練習は和やかな雰囲気ですね。
田中:いつもあんな感じで、でも真剣にやっています(笑)
唐橋:今日は近くのネットに向かって投げていた。毎日独特な練習方法ですが・・・。
田中:その時その時で「意識するポイントをちょっと変えようか」とか、日によってテーマを変えてやっているんですけど、今日はリリースを強調してやっていこうということでああいう内容になりました。
唐橋:身体と頭の連動が難しそうな練習に見えますが?
田中:今まで取り組んでいなかったこと、初めての感覚というところはあるので、少しでも疑問に思うことがあれば聞くようにはしています。今のところすごく上手く、やろうとしていることができているかなと思います。
唐橋:新フォームの完成形まで今はどのあたりにいる?
田中:う~ん(長考)最終的には打者と勝負して、打者がどう感じるかが大事だと思うので、まだ打者に向かって投げるまでにステップを踏まないといけないところがあるので、まだ何個か階段を上がらないといけないと思っています。
唐橋:あと3勝の通算200勝については?
田中:そこは必ずクリアしなければいけないですけど、ここ数年、目の前に近づいてきてもなかなか勝つことができなかったので。簡単ではないと思いますけど一つ一つ積み重ねていって、今シーズンはそこを通過点とできるように頑張りたいと思います。
唐橋:大勢投手にいじられたりしていますよね?(※練習開始前の円陣で大勢(25)が「マー君神の子、不思議な子!さあ行こう!」と掛け声)
田中:ちょっとびっくりしましたけど、「もうちょっと上手く言ってくれよ」と。なんか僕がすべったみたいな雰囲気がちょっと出ていたので、あの時言いました(笑)。
唐橋:田中投手の表情がとても和やかになっているなと。
田中:非常にいい雰囲気の中で練習ができていると思います。
唐橋:目標は?
田中:日本一、シンプルですけど。
唐橋:たくさんのファンが期待している。どう応えたい?
田中:この世界は期待されなくなったら終わりだと思うので。そういう声は嬉しいですし、結果で返していきたいと思います。