■牛肉は”サシ”がお好き?「霜降り至上主義」に懸念


小川彩佳キャスター:
それぞれの熱い思いがこの和牛たちに注がれているんですね。

国山ハセンキャスター:
この肉質だとか、サシの入り方で評価されている和牛ですが、最高ランクは「A5」ですが、その割合は年々増えています。20年前は全体の1割ほどだったんですが、小川さん、2021年の数字はどのくらいだと思いますか?

小川キャスター:
全く想像がつきませんけれども、20年前よりは増えているという実感はありますから、2倍ぐらいなのかなと思うんですが…。

国山キャスター:
実はどんどん上がってまして、約46%。つまり、もう半分近くがA5ランクになっているということがこのデータからもわかるかと思います。


小川キャスター:
お店でも「A5」という言葉を聞くことが増えてきましたもんね。

国山キャスター:
ある種のブームと言ってもいいかもしれないですよね。それだけ”サシ”が入った和牛が増えているということですけども、実はこの「霜降り至上主義」とも言われる状況に業界団体からも懸念の声が上がっているんですね。


どういうことなのか詳しく見ていきますが、和牛の種牛には「発育がいい」「サシが入りやすい」「病気に強い」など、それぞれ個性があります。ただその”霜降り”を生み出すために、サシの入りやすい特定の雄に人気が集中して、近親交配の割合が増えてしまっているということなんです。


確かにサシが綺麗に入った和牛が多く生まれるということになりますけども、その一方で「遺伝子の均一化」というリスクが出てくるんですよね。この遺伝子が均一化してしまうと、どういう問題があるかというと、例えば「感染症によって一気に絶滅してしまう」というリスクが高まったり、品種改良することが困難になってしまうというような恐れもあるということなんです。

小川キャスター:
「霜降り至上主義」によって絶滅リスクを格段に増やすことにも繋がってしまうという問題もあるんですね。

国山キャスター:
人気のものを一気に食べられなくなるということも考えられますし、確かなリスクというのは存在するということなんですね。こうした状況に和牛の血統などを管理する業界団体も遺伝子の多様性を残すという観点での取り組みを進めています。

その一つが品評会での評価指標の「見直し」です。

これまでは一頭から取れる「肉量」サシの入り方などの「肉質」、そして「脂の質」「5:4:1」で評価をしていたということなんですが、今回から「1:1:1」で見ていきますよと。


小川キャスター:
これまでの「サシの量」などよりも「脂質」を重視して評価していこうということにもなってきますね。

国山キャスター:
そうですね。ある種、「肉量」「肉質」に偏っていたところを、よりバランスよく見ていくということになりますね。こうした取り組みによって「サシ一辺倒ではない和牛の多様な遺伝子を守っていきたい」ということを話していました。

小川キャスター:
そうすると、A5ランクの味わいというのも変わってくるということになるんでしょうかね。

国山キャスター:
再定義といいますか、我々もちょっと考え直す必要があるかもしれないですね。