記者
「部分的動員について聞きたい」

男性
「コメントしたくない」

■ロシア出身ブラスさんに聞く「動員令」による若者の”危機感”とは?

小川彩佳キャスター:
ここから小原ブラスさんにお話を伺っていきます。まずは部分的動員令に対するモスクワの若者たちの反応について、4人のうち3人が賛成、1人が反対でしたが、ブラスさんはこの言葉をどのように受け止めましたか。

在日ロシア人コラムニスト 小原ブラスさん:
今のロシアで正直、このようにマイクとカメラを向けられて、反プーチン的なことをはっきりと言葉にするというのは、かなりリスキーな状態ではあるので、一般的な反対派の方はこのようなインタビューを受けることはないのかなというふうには思います。

部分的動員についての意見を求められている人の多くは、30代前半ぐらいまでの方が、動員の対象になる人が多いのかなと思うんですけど、それらの世代の人は自分たちが18歳になって選挙権を得る頃には、既にプーチンの基盤ができていて、どのような選挙に参加したとしても、プーチンの政権がひっくり返ることはないだろうと言われてるような状態だったと思うので、選挙とかに参加して、政治に自分が参加してる感覚というのがない人がほとんどだと思うんですよね。
それが今回、部分動員がされて直接的に自分に関わりが出てきたということで、かなり不安を覚えている人が多いのではないかなと考えてます。

小川キャスター:
自分事という受け止めをする方が多くなってきたということですね。
ブラスさんは、幼い頃に来日されたということですから、今回の動員令の招集対象ではありませんが、ロシア国内の友人や知人で召集の対象になられ方はいらっしゃるんですか?

小原ブラスさん:
僕が元々、知人の多いハバロフスクっていう地域に関しては、基本的にプーチン支持派が比較的多い地域ではあるのかなと思うんですよ。
それが理由かどうかわかりませんが、僕の周りの知ってる人に動員令が来たということはないですが、日本に住んでいる他のロシアの方とかに聞くと、例えばロシア連邦の中でも、カラチャイ・チェルケス共和国という比較的プーチンに反対派の弾圧されたような地域に住んでいる方がいるんですけど、そこら辺の方は、親戚や知り合いの方とかに、動員召集令状が来ているということを言っている人も多いので。反体制派の多い地域ほど、動員されているのではないかというようなことが、あくまでも憶測ではありますが言われています。

小川キャスター:
地域を選んで招集をかけられている可能性があるとしたら恐ろしいことですね。

■動員令の対象・補償は?若者もプーチン大統領支持?


国山ハセンキャスター:
改めて動員令について見ていきましょう。発令されたのが9月21日です。徴兵経験がある人や予備役、大卒などの専門知識と経験がある人が招集の対象となっていて、新たに30万人を動員する予定だということです。

今回の動員令を受けて、ロシア国内にいるブラスさんの知人などからは、国外脱出を試みている人がいる。戦争のために車が没収されたら補償はどうなるのかなどといった、本当に身近な不安を訴える声が相次いでいるということです。


小川キャスター:
この動員令をきっかけに危機感の変化を、お感じになってますか?

小原ブラスさん:
今までの状態というのが、反対をしていても、反対のデモに出ることによって、場合によっては自分や自分の家族の命が危険にさらされている。
もちろんウクライナの方の命というのはものすごく悲しい状況になっているのが分かっていたとしても、声に出しづらいという状態だったけれども、今回このように直接、自分や自分の家族が動員される、その方の命が奪われる可能性があるということを考えたときに、今までは他の国の人のために自分の命を犠牲にはできなかったけれども、今回は自分の家族や自分のためにっていうことで行動を起こす人が増えてきているようには感じています。

その他にも、今は戦争という形にはなってないんですけども、ロシアの中で戦争状態にあるということをプーチンがもしも宣言をした場合には、いくつかやっぱり制限がかかります。
例えば、戦闘に使うために政府が車を没収することができるような法律があったり、国民がもっと協力しなければならないという法律があるんだけれども、そうなった場合に、それが戦争で壊れたときや家屋が壊れたとき、それらの保険が適用されるのかどうかというような問い合わせが、ものすごく今増えているという話も言われていますね。

例えば自分がもしも死んだ場合にもその保険は適用されるのかとか、このような話がものすごく出ているということは、やはり国民としては戦争がもういよいよ身近に迫っているんだというのを強く感じているということだと思います。