「斎宮歴史博物館」でもプロを驚かせた知識 愛子さまの卒論のテーマは“情熱的”恋の歌

愛子さまの古典の知識が相当なものであることは、他の専門家も語っています。

斎宮歴史博物館で説明を受ける愛子さま

昨年3月、初めてお一人で伊勢神宮を参拝されたときに、神宮から車で30~40分ほどの「斎宮歴史博物館」という施設も訪問しています。斎宮とは古代から中世にかけてこの地にあった宮殿で、都から派遣された「斎王」が500人を超える官人官女と暮らしていたところです。斎王は内親王(天皇の娘)などから選ばれた未婚の女性で、天皇に代わって伊勢神宮に仕えたといいます。

ここで愛子さまのために特別に展示されていたのが、古い絵巻の一部。百人一首にも入っている式子(しょくし)内親王という歌人の和歌が三首書かれているものです。式子内親王は、京都の賀茂神社でやはり天皇の代理として神に仕える「斎院」になった内親王(天皇の娘)です。

実は、愛子さまの卒論のテーマがこの式子内親王とその和歌。展示された絵巻に書かれた和歌を見た愛子さまは…「式子内親王の歌はとても美しいと思います」と、その歌の描く世界について感想をもらしたといいます。

このときに案内をした斎宮歴史博物館学芸普及課の天野秀昭さんは、「(歌は)パッと見て分かるものではありません。式子内親王の歌をしっかりと研究されたと感じました」と言います。ここでも愛子さまはプロも驚かす古典の知識を持っていたのです。

今回の番組では、愛子さまのご覧になった絵巻と、そこに書かれた式子内親王の和歌を、改めて撮影させてもらいました。

取材に行った安住紳一郎アナウンサーは、「貴重なものを見せていただきありがとうございます。悲しいのは、何て書いてあるかわからないことです…」とコメント。

愛子さまがご覧になった式子内親王の和歌が書かれた絵巻を取材中の安住アナウンサー

流麗な変体仮名で書かれており、読む訓練を受けていないとチンプンカンプンの資料で、確かに普通の人が”パッと見てわかるものではありません”でした。

変体仮名で書かれた式子内親王の和歌(左側)

絵巻には三首の和歌が書かれているのですが、そのひとつが以下です。

「ながめわびぬ 秋よりほかの やどもがな 野にも山にも 月やすむらん」

以下、かなり意訳です。

「月を眺めると、どうしてもあなたを想ってしまう。秋ではない宿が他にないものかしら…でも野にも山にも月が澄んでいて逃れることなど出来ないのね」

といった感じで、忍ぶ恋について歌ったものです。他の二首も、秘めた恋心について歌ったものでかなり情熱的です。

さらに、百人一首に入っている式子内親王の和歌は以下です。

「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする」

こちらもかなり意訳ですが、「私の命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ。このまま生きていると、あなたへの恋心を忍ぶ力が弱ってしまうから」と、こちらはもはや生き死にに関わるような激情型の恋心の歌です。

愛子さまのおっとり&ふんわりした雰囲気からすると意外な感じもしますが、こうした情熱を「美しい」と受け止める感受性をお持ちなのかもしれません。

今回のスペシャル番組では、他にも愛子さまにまつわる秘話を取材していますので、ご期待ください。またX(旧Twitter)も始めたので、Xで「TBS」「皇室」で検索してみてください。

執筆者:TBSテレビ「春の皇室スペシャル プリンセス愛子さま“初めてづくし”の1年」プロデューサー 堤 慶太