トランプ流“ディール”関税の発動延期も…

そして、焦点の関税。大きな動きがあった。メキシコとカナダに対しては25%の関税を予定していたが、不法移民や合成麻薬の流入対策として、メキシコは国境地帯に兵士1万人を派遣するカナダは13億ドルを投じると表明したことによって、1か月延期となった。

一方で中国は発動。中国は10%の追加関税発動し、これを受けて報復措置として石炭、液化天然ガスなど25%、原油、農業機械などに10%の関税を課すとしている。

――メキシコ・カナダに対しては不法移民対策をさせるために脅しに使った?

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
トランプ政権の第1期のときも、口で言っているほど移民に対して厳しくもなかった。今回もすごく口で言っていたり、今不法移民と言われてる人たちを捕まえたりして恐怖政治を強いていてそれをやることによって、不法移民が入ってこなくするという効果もある。トータルで見たらどうかというのはすごく悩ましいところだが、メキシコに対して「不法移民対策をやります」と言われたので、関税をかけないようにするのは本当にディールとしてうまくやっている。

――中国の方は結局ディールの狙いが、まだ我々にもよく見えてない。

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
アメリカにとって中国というのは、他の国よりも大きくて魅力的なマーケットだと思う。言い方が悪いが、カナダとかメキシコは、それはアメリカに対しては、どちらかというとフォロワーで従属する感じ。中国は取っていきたい市場。そこに対してどういう措置を取るかということが本当にトランプ大統領にとってもキーだと思う。なので、できるだけあのディールを中国から取りたいと思うので、どんどん段階を経てうまく考えてはいる。だが、中国も中国で考えているのだろう。

――トランプ関税政策が、世界経済に与える影響は?

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
関税そのものをかけるというと、普通は米国と中国の景気は悪くなります、インフレは上がっていきますというのがまず定石。だが、それだけで本当にいいかというと、セクターによって違う。商品によって関税を変えたりとか、どうしても欲しいものは買わざるを得ないので、他のところに移すとか、得をする人も出てくるかもしれない。なので、関税をかけるというとすぐネガティブなことしか出てこないが、ものによっては得なものも出てくるかもしれないというのもあわせて見なくてはいけないというのが、難しいところ。

――対中関税で日本の輸出は逆に伸びて、日本のGDPはプラスという試算もある。

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
そういう見方をしてる人も結構いる。トータルで見るとそうなんだと。ただ当然だが、日本から中国に物を輸出して、中国からアメリカに行ってるものもある。なのでそういうことを考えるとそこは×になる。だがトータルで見ると中国から出たものが、日本や台湾、別のところから買うことにはなるのでプラスになるという見方もある。トータルで見て、自由経済ではなくなっていくと、何かしらの損は出てくる。トータルで見て本当にポジティブだとは思わない。

――いつ、どこの国の関税がどうなるかわからないと、予見性がなくなり、いろんな投資が止まるのでは。

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
何でもネガティブではないので、視聴者で投資をしている場合は、全部×ではないということだ。セクターによっては得をするセクターもあるかもしれないので、そこは中身を見て考えていただきたい。

(BS-TBS『Bizスクエア』 2月8日放送より)