日米首脳会談 USS買収計画に大きな変化

日米首脳会談が行われていたワシントンから中継で、涌井記者に話を聞く。

――USスチール問題。「買収ではなく投資」の意味は?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領としては買収に反対というこれまでの姿勢を示しつつ、投資を受け入れるとして日本側のメンツも一定に立てるという形でディールを演出したように見える。ただトランプ大統領の買収ではなく、多額の投資を行うことで合意したという言葉、これが何を指すのか。日本製鉄がUSスチールの全株を取得するという現在の計画を見直すことを指しているように聞こえるが、具体的なことははっきりしていない。またトランプ大統領は日本製鉄にUSスチールの所有権が移るのは心証が良くないと述べていて、引き続き買収には反対だという姿勢を強調している。来週トランプ氏は日鉄のトップと会談して具体的なことを調整すると話していて会談の行方が焦点になる。

――日米首脳会談で関税について日本に対して、具体的な言及がなかった。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
今回トランプ氏が強く求めていたのが、貿易赤字の削減・解消。石破総理はそれに応える形でトランプ氏とアメリカ産の液化天然ガスLNGの輸入増加や、日本に近いアラスカ州からのエネルギー輸入も検討していくことで合意した。日本のエネルギーの拡大が赤字削減に貢献するという見方からかトランプ氏は関税についてはそれほど話し合っていないと記者会見で話した。

また石破総理は日本からアメリカへの投資を増やしていくという意向を示したほか、防衛費の増額をしていくという方針を示した。こうした日本側の姿勢がトランプ氏の理解を得られたのではないかと思う。

トランプ関税発動 強硬姿勢は今後も続く?

――カナダやメキシコに対しては猶予、そして中国に対しては発動。この先は?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領は記者会見で、貿易相手国がアメリカの輸入品にかけているのと同じ関税をかける「相互関税」に言及。来週の月曜日か火曜日にその詳細を発表すると明らかにした。

高関税をかけているとして問題視している国に対して課税する方針だとみられている。これまで名指ししている国として中国のほか、インドやブラジルなど名前を挙げたことがある。日本も農業分野では関税が残っているので、今まで名指しは避けられているが狙われる可能性も否定できない。

また個別の国への関税だが、メキシコとカナダに対しては移民問題での成果を得て、支持者にアピールできたということで交渉の道具という成果が強かったため、一旦延期ということになったわけだが、中国に対してはもう少し腰を据えて貿易赤字の削減を目指した本格的な貿易戦争を仕掛ける可能性が高いというふうに見ている。現在の10%の追加関税というのはいわばジャブのようなもの。今後選挙戦の中で言及していた60%、あるいはそれ以上という形で関税の引き上げをちらつかせてくるということは十分考えられて、今後も世界経済を振り回していくということになりそうだ。