能登半島地震で被災した夫婦が、長年の夢だった喫茶店を金沢にオープンしました。度重なる災難に見舞われながらも、訪れる人たちに癒しの場を与えようと奮闘しています。

災害関連死を含む、500人以上の命が奪われた能登半島地震。人的被害や建物への被害は、県内の広範囲に及びました。
前川由萌記者リポート(2024年1月2日・金沢市)
「住宅への被害は金沢市でも確認された。あちらの現場では崖崩れによって住宅の土台部分がめくれ上がっている」

1万3千棟あまりの住宅に被害が確認された金沢市。なかでも被害が深刻だったのが、山沿いに住宅が立ち並ぶ、田上新町(たがみしんまち)です。元日の地震で盛り土が崩壊し、道路と周辺の住宅4棟が土砂ごと崩れ落ち、全壊。
実家が全壊した・小村宗紀さん
「まさしく今重機が置かれているところが元々実家があった場所。奥に小屋が残っているけど、あれもうちの物。ここにあった家があの段まで落ちたんです」

この場所に実家があった小村宗紀さんは、当時、家族6人で正月恒例のカラオケに向かおうと実家を出た直後、大きな揺れに見舞われました。
実家が全壊した・小村宗紀さん
「実家があると思っていた場所に青空が見えて『あれ?』と思って近寄って行ったら、前の道ごと実家が崩落していた。危なくない所に行って家族と話そうかなっていうのが精いっぱいで、それ以上のことは何も思いませんでしたね」
地震直前の年末、近くにある新居に家族で引っ越していたことで、幸い、全員が安全な場所に避難できたという小村さん。一方、震源地から離れた金沢で被災したことで、当時はやり場のない感情を抱えていました。

小村宗紀さん
「『能登の人じゃないから被災者じゃない』みたいな扱いを何度か受けたことがある。金沢市内は大丈夫だったみたいなイメージ。当然、そのままだが『疎外感』と言うかいろいろ思うことは正直ありました」