長野県佐久市で2015年、男子中学生が車にはねられて死亡した事故をめぐり、ひき逃げの罪に問われた被告の裁判で、最高裁はさきほど、被告を無罪とした2審判決を破棄し、被告側の控訴を棄却しました。被告に懲役6か月を命じた1審判決が確定することになります。

この事故は2015年、長野県佐久市で当時中学3年生だった和田樹生さんが自宅前で車にはねられて死亡したものです。車を運転していた被告は、過失運転致死の罪で執行猶予付きの有罪判決が確定した後、ひき逃げの罪で在宅起訴されています。

1審の長野地裁は、被告は飲酒を隠すため和田さんを救護する前にコンビニで口臭防止剤を買っていたなどとして、懲役6か月の実刑判決を言い渡しました。

しかし、2審の東京高裁は、被告が事故直後に車を停めて和田さんを探していたことや、コンビニから戻った後に人工呼吸をしていたことなどをあげて、「救護義務の意思は一貫して保持していた」として被告に無罪を言い渡し、検察側が上告していました。

最高裁はきょうの判決で、被告を無罪とした2審判決を破棄し、被告側の控訴を棄却しました。被告に懲役6か月を命じた1審判決が確定することになります。

判決で、最高裁は被告が事故直後に被害者を探したものの発見できず、その後、買い物のためにコンビニに立ち寄ったことについて「引き続き被害者の発見、救護に向けた措置を講ずる必要があった」と指摘。「状況に応じて、救護などのために必要な措置を臨機応変に講じなかった」として、救護義務違反があったとしました。