自然に柔らかにさえぎる意味も

谷口教授によると、「いいにする」の意味は、使用場面によって大きく4つに分類できる。「中止」「妥協」「許容」「中断」だ。

1つ目の「中止」は、予定していた行動や議論を完全にやめること。例えば毎朝ジョギングをしている人が「雨が降っているから、今日はいいにするか」と、ジョギングに出掛けるのを中止する場合に使う。

谷口教授によると、特に静岡県中部と西部でよく使われる表現という。

2つ目の「妥協」は、代替案で納得する場面で登場する。例えば店でピンク色のリボンを買いたいと思っている人が、「赤色しか売ってないから、赤色でいいにするか」といった具合だ。

3つ目は「許容」。「相手がこれだけ謝っているなら、もういいにするさ」と、先方の謝罪や状況を受け入れて、さらなる追及はしないことを意味する。

4つ目の「中断」は、ドラマの「もうええでしょう」と同様に、仕事や作業が途中の段階にもかかわらず、ストップしたい場面で使う。例えば大工が作業を切り上げる際、「今日はもういいにしよう」と呼びかける。

「もうええでしょう」と異なるのは、言葉の持つ迫力。半ば恫喝して議論を打ち切る「もうええでしょう」に対して、「いいにする」には、柔らかく自然に行動を終えるニュアンスを含んでいる。