2015年 空き家対策の特別措置法で「行政代執行」が可能に

空き家は外壁がはがれたり、ひびが入るなどの破損が、周辺の住民に危険を及ぼすだけでなく、放火の現場やゴミの不法投棄場所になるなど、治安の悪化につながる恐れも。

解体業者も当時、放置された空き家への懸念を強めていました。

(解体業者 2014年)
「倒壊寸前で壁がよりかかったり、未処分の建物が多い」

こうした中、国は2015年、空き家対策の特別措置法を施行。(空き家等対策の推進に関する特別措置法)

危険なものについては、行政による強制撤去「行政代執行」ができるようになったのです。

東海地方初の「行政代執行」は

2018年。三重県菰野町の住宅街では。

(記者)
「あちら、物置小屋が倒壊している」

20年以上使われていなかった、トタン張りの物置小屋。壁は崩れ、隣の家へ倒れかかっています。

(記者)
「トタン屋根が完全に抜け落ちていて、草木は隣りの家にまで伸びています」

住民からは。

「(物が飛んでくることが)ある。トタンが腐っている。台風などで強風が吹いたときはどこに飛んでいくかわからない」

菰野町は10年以上にわたり、持ち主に撤去を求めていましたが、解体費用がないとして放置が続いていました。そして。

(当時の町の職員)
「行政代執行法による解体工事をすることを宣言します」
ついに町が強制撤去することに。

(当時の町の職員)
「所有者に指導しても解体されなかった。第三者に危害が及ぶので、行政代執行に至った」

これが東海地方初の「行政代執行」でした。

撤去費用50万円は町に返還されず、土地は行政のものとなり、今は道路になっています。