まずは「体調どう?」から子どもの話を聞いてみて

ーーいち早く子どもが悩んでいることに気付くためにはどのようなことが重要ですか?

「何気ないコミュニケーションとか、短い時間でも定期的に話を聞く時間を持つことが非常に大切です。『体調どう?』とか、体の面から話を聞くということがおすすめです。『眠れない』とか『お腹が痛い』というところから、『どうしてそんな状況なの?』と聞いてあげることで、自分の気持ちとか本音を言えるようになっていく可能性があります」

ーー子どもが悩みを打ち明けてくれた時、どのように向き合えばよいでしょうか?

「悩みや希死念慮(死にたい気持ち)を打ち明けてもらったときに一番大切にすることは、動揺しないこと、また否定的な気持ちにならず最後までゆっくり話を聞くことです。子どもの場合、自分の気持ちを言葉にするということはとても難しいんですね。その感情がどうして生まれたのか、気持ちを紐解く時間を持つということも大切です。言葉にすることで『自分は怒ってたのではなくて不安だったんだ』と本当の気持ちに気付くことができたり、楽になったりすることがあります」

また石井さんは、子どもや若者が友人などから悩みを相談され、一人で受け止めているケースもあるとして「相談に乗る側も一人で抱え込まないでほしい」と訴えます。

NPO法人「Light Ring.」の代表理事・石井綾華さん
「悩みを受けとめる側の子どもたちは、意図せず『あなたにしか話せない』と打ち明けられることも多いと思います。だからといって、自分だけで抱え込むということはしなくてよくて。

多くの大人たちと一緒に本人をサポートしていく、それによって本当に苦しむ子たちを早く手助けできるチャンスにも繋がっていきます。悩みを聞いてどう返していいかわからないとか、聞き続けて疲れてしまったという場合には、私達のような相談窓口にぜひ本音を伝えてほしいです」

執筆者:TBSテレビ社会部(厚労省担当)辻萌絵子

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いま、悩みを抱えているという方は厚生労働省のホームページを「まもろうよこころ」で検索すると、電話やSNSで相談することができる窓口が紹介されています。