日本銀行は24日、政策金利を0.25%引き上げ0.5%とすることを決定しました。0.5%という水準は、バブル崩壊後の最高水準で、今後の利上げは、いわば「未体験ゾーン」での判断を迫られることになります。

政策金利0.5%は17年ぶり

日銀の利上げは、去年3月のマイナス金利脱却以来、3回目です。この間、政策金利はマイナス0.1%から0.1%に、次いで0.25%に、そして今回0.5%へと、上がったことになります。

日銀の政策金利が0.5%になるのは、なんと2008年以来、17年ぶりのことです。2008年と言えば、リーマンショック直前のことでした。当時の福井総裁が、物価高などを背景に前年の2007年2月に政策金利を0.5%に引き上げたものの、アメリカの不動産バブル崩壊が始まり、わずか1年8か月で0.5%時代は幕を閉じたのでした。

それ以前となると、0.5%は、金融危機の恐怖が未だ冷めやらぬ、1998年まで遡らなければならず、バブル崩壊後の日本経済にとって、0.5は、金利の「天井」「壁」だったのです。

次の利上げは夏以降か

今回の利上げが過去2回と異なるのは、利上げ幅が0.25%もあり、それがフルに効いてくることです。前回7月の利上げでは、利上げ幅は0.15%でしたし、3月のマイナス金利脱却時も、見かけの利上げ幅こそ0.2%ありましたが、実際の貸出金利がマイナスになっていたわけではないので、影響は僅かなものでした。今回は、企業への貸出金利や住宅金利の変動金利もそれなりの幅になるでしょう。

引き上げ幅だけでなく、水準そのものも、過去30年で最高と、これまで「見たことのない」金利が出現するのですかから、植田総裁も記者会見で今後の利上げについて「注意深く進めていきたい」と述べました。ただ同時に、植田総裁の会見からは、0.5%を特別な「壁」として意識しているとは感じられませんでした。

では、次の0.75%への利上げは、いつになるのか。今年の春闘で中小企業も含めた賃上げが強ければ、4月にもということも、論理的にはあり得ますが、普通に考えれば、次の利上げまで半年後、つまり夏以降ということになるのでしょう。

ただ、7月には参議院選挙もあって、政局混迷の可能性もあります。その一方で、想定以上に、それまでに円安や物価高が進む可能性もあり、まさに「未体験ゾーン」で、情勢を見ながら次のタイミングを見計らうことになりそうです。