放置された商業施設に建設がストップしたマンション群…外交関係に翻弄された“ゴーストタウン”の実態
外交関係に翻弄される街があると聞き取材に向かった。丹東の中心街から車を30分ほど走らせたところにある「丹東新区」と呼ばれるエリアである。しかし、立ち並ぶマンションをよく見てみると、人がほとんど住んでいないものや建設工事が途中でストップしているものが多い。近くに商業施設があるということで行ってみるとテナントは入っておらず長いこと放置されているのか雑草が生い茂っていた。

街の中心部にある大通りも車がほとんど走っていない。北朝鮮産の高麗人参などを扱う店も閉鎖されていた。まるでゴーストタウンである。

このエリアには2014年、中国と北朝鮮を結ぶ新たな橋「鴨緑江大橋」が完成した。中国側が約22億元(日本円で約470億円)を出して建設したもので、老朽化が進む「中朝友誼橋」に代わる新たな貿易の大動脈として期待を集めた。橋の開通を見越して街の開発も進んだ。2018年、金正恩総書記が中国の習近平国家主席やアメリカのトランプ大統領(当時)と会談し、その後、核実験の停止を約束するなど“融和ムード”を打ち出すと、丹東新区の不動産への投資が相次いだ。中国メディアによると、価格が1日に2回上昇する物件や価格が倍になった物件もあったという。
