「北朝鮮と貿易ができると思っていたのに…」裏切られた期待 丹東新区の住民からは悲痛な声も

しかしその後、北朝鮮はアメリカが求めていた非核化について「今はできない」と表明するなど再び強硬路線に転じる。「鴨緑江大橋」は現在に至るまで開通せず丹東新区への期待はしぼんでいった。中国側には巨大な税関施設がほぼ完成しているものの北朝鮮側は税関の施設などが十分に整備されていないようにもみえる。丹東新区の住民からは悲痛な声もあがっている。

丹東新区の住民
「橋がいつ開通するのかは分かりません。毎年“今年は開通する”と言われているのですが…」

丹東新区の住民
「私が来たときマンションの価格は1平方メートルあたりおよそ7000元(日本円でおよそ15万円)でした。いまは5000元(日本円でおよそ11万円)です。安くなってしまいました」

丹東新区の住民
「私の息子は小さな家具店を経営しているのですが店をずっと開くことができていません。当初は北朝鮮と貿易ができると思っていたのですが。私は中国と北朝鮮が友好的になることを望んでいます。北朝鮮が開放されればビジネスにとっても良いことだと思います」

開発がストップしたマンション

中国と北朝鮮の関係は今後どうなるのか?見通しを中朝貿易の関係者に聞いてみた。「中国も北朝鮮もトップの意向次第で物事が決まる。我々、貿易関係者や一般市民には預かり知らないところだ」という答えが返ってきた。

今月20日、アメリカでトランプ政権が再び誕生し、金正恩総書記と対話を行う意向を示した。トランプ大統領と金正恩総書記が再び首脳会談を行うとなれば北朝鮮をめぐる国際情勢は大きく変化するとみられる。ミサイルの脅威や拉致問題を抱える日本にとっても北朝鮮と無縁ではいられない。北朝鮮と“後ろ盾”中国のトップがどのような意向を持っているのか、今年は特に注目が集まる1年になりそうだ。

JNN北京支局 松尾一志