「怒りよりも悔しい…」 男を取り押さえた夫婦が当時の状況語る

この事件で、男がウサギを蹴る様子を目撃し、取り押さえて通報したのが、大久野島のウサギをおよそ25年間追い続けている、写真家の中村隆之さんと麿矢さんです。
事件は日も落ちかけていたおとといの午後5時半ごろのことでした。
中村隆之さん
「うさぎが蹴られた場所から、15m~20mくらい離れたところから見ていたので、走って少し離れた場所で犯人を捕まえました。逃げられないように手を握って、その際はあまり抵抗せずにおとなしく観念した様子でした。あそこにシミがあると思うんですけど、そのあたりでウサギが亡くなっていまして…」
中村さん夫婦は警察が来るまでの間、男から話を聞いたといいます。
中村麿矢さん
「しどろもどろながらも『僕が全部やりました』みたいな話をしていました」
中村隆之さん
「こちらからの名前とか『どこから来たの?』とかいう問いかけにはわりと淡々と答えて、そこまで取り乱した様子ではなかったんですけれど。動機とかを聞くと『ウサギが可愛くてやりました』『守りたくなってやりました』とか支離滅裂なことを話していて、私たちでは理解できないようなことを喋っていました」
警察によりますと男は動機について「ウサギが可愛いと思う反面、いじめたときにどんな反応をするかが気になった」と話しているといいます。
ウサギを追い続けている中村さん夫婦にとって、今回の事件は容疑者への怒りよりも悔しさがあるといいます。
中村隆之さん
「島に25年通っていて、ある意味我が子のように見守っているうさぎさんが次々と亡くなっていって、本当にずっとこの1,2ヶ月はもう色んな思いが巡って、純粋に島に来て写真を撮って楽しめるという心境ではなかったです」
中村麿矢さん
「やっぱり人だったんだと思いました。一番やってはいけないこと、同じ人間として“ウサギさんに申し訳ない”という気持ちも芽生えています。人を信じているからこその今回の事件だったのかなって思ってますね。信じ切ってるからウサギがこの島でゴロゴロできているので」

中村さん夫妻は今回の事件で、ウサギと人間との距離を少し見直す必要があると感じていました。
中村麿矢さん
「(大久野島での)ウサギさんとの距離感が、今ちょっと近すぎると感じます。少しだけ離れる距離感というのが取れると事故も減るし、今回みたいなことも、もしかしたら防げたのかなという気がします」