豊後国(大分)では平安時代から江戸時代にかけて多くの刀工が活躍していました。そこで作られた日本刀は『豊後刀』と呼ばれ、実用性の高さから「良く切れる」と評判になり、多くの武士が愛用していました。しかし、明治期を境に生産は途絶え、作り方を記した文献も残っていません。

こうした中、新名さんは地元大分の川で集めた砂鉄などを使用することで、豊後刀を再現できると考えています。

「豊後刀というのはそもそも刀自体が黒みがかった潤みのある刀で、そういう刀を再現できるか不安なんですけど、やってみないとわからないというのが実情です。まずは取りかかっていきたいと思う」

新名さんは去年から素材集めを進め、豊後刀1本分の量を確保しました。今年はいよいよ作刀に着手する予定です。 

「生まれも育ちも大分県ですし、大分にはたくさん良いものがあるし、こういったものをどんどん発掘して全国に広げていきたいなという気持ちがあるので、『豊後』を背負って歩みを続けていきたいと思っています」