“政策転換”で日米関係は?

藤森祥平キャスター:
この「多様性」を見直す動きの姿勢は、トランプ氏の大統領就任とともにさらに加速しそうです。

これまで掲げていた、「不法移民の強制送還」や「関税の引き上げ」などの政策を
ただちに実行に移すとしていて、就任から数時間以内に200本もの大統領令に署名するとも言われています。

小川キャスター:
ものすごいスピード感に思えますが、就任初日から政策を急ぐ背景にはなにがあるのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
実はトランプ氏に与えられた時間はあまり多くありません。1期(4年間)しかなく、2年後にはもう中間選挙が控えています。

中間選挙は、歴史的に政権与党に厳しい結果となることが多く、今はとにかく成果を上げなければいけません。大統領令の連発は、トランプ大統領の残り時間の少なさや焦りの反映だと思っています。

藤森祥平キャスター:
トランプ氏の思惑はうまくいくのでしょうか?

星浩さん:
気になるのが“盟友”であるイーロン・マスク氏との関係性です。マスク氏は、移民を追放したくないんです。優秀なIT人材が移民として入ってくるし、労働力としても欲しいので。

しかしトランプ氏を支えてきたグループは、絶対移民を許さず、国境の壁も強化しろという姿勢なので、この2つのグループはいずれ対立することになると思う。

小川キャスター:
不透明感がまだまだ強いトランプ政権に日本はどう向きあえば良いのでしょうか?

斎藤幸平さん:
日本はアメリカに弱いですからね。DEIやSDGs、マイノリティへのアメリカ国内での認識が日本で広がったときに、耐えられるかがこれからの4年間、日本では問われることになると思う。

外交に関して言えば、中国とアメリカの対立は深まっているので、その橋渡しを本来であれば石破さんに期待したいところです。

藤森キャスター:
その期待される日本政府ですが、星さんによりますと、トランプ氏による“方針転換”に備え、日本政府も水面下である“キーパーソン”への アプローチを進めてきました。

その人物こそ、大統領補佐官(国家安全保障担当)に指名されているマイク・ウォルツ氏ではなく、その妻のジュリア・ネシェワット氏だといいます。

星浩さん:
ウォルツ氏は、外交安全保障の“司令塔”になるのでキーパーソンになるが、奥さんのネシェワット氏は実は東京工業大学(現・東京科学大学)に留学経験があり、夫婦揃って日本通。

不透明感の多いトランプ政権のなかで、 日本との数少ない繋がりのため政府も“攻めどころ”だと思い、日本の政府高官もすでにウォルツ氏に接触しています。

2月にも予定されている日米首脳会談の実務などは、ウォルツ氏が仕切るとみられていて、日本としてはアメリカに対して「孤立主義はアメリカにとってもマイナスだ」と説くべきだと思います。