医者として「目の前の患者にはいててよかったと言ってもらいたい」

順一さんは現在も医者として働き続けています。大切な家族を亡くした悲しみが今も癒えることはありませんが、震災の経験を通じて、『1日1日、今の一瞬を大切に生きていくこと』の大切さを改めて教えてくれたと話します。

(順一さん)「自分の母とばあちゃんを亡くして、本当に人の命の大切さを嫌になるくらい心の中にくさびみたいなのががっつり打ち込まれた。将来のこと、なんぼ夢見ようが何しようが、大切なのは日々の積み重ね、毎日一瞬一瞬を集中してやらなければならないことをきちんとやる。生きなあかんなというのを、この経験で、本当に勉強になった。だから感謝しかないです」

阪神・淡路大震災から30年。今も順一さんは、母親の洋子さんや祖母のアイ子さんから最後に教わった「日々の大切さ」を胸に、1人の医者として目の前の命と向き合い続けています。

「生かされているうちは、自分の母親とかおばあちゃんには親孝行できなかったけど、自分の目の前に来てくれる患者さんに関しては、自分の母や婆さんに出来なかったことをできるように、僕がいててよかったなと言っていただけるような治療であったり医療であったりが出来たらいいなと」