「もう一生分ぐらい泣いた」母と祖母の遺体の横で寄り添う

地震発生翌日の夜、懸命な捜索で洋子さんとアイ子さんは倒壊した家屋の中から遺体でみつかりました。順一さんは妹と遺体が安置されている体育館へ向かいました。順一さんは、その日の夜、洋子さん、アイ子さんの傍で寄り添いながら一緒に過ごしました。

 (順一さん)「お婆さん(アイ子さんは)は優しい人でした。やさしさを固めたらあんなおばあちゃんになるのかなと。母はごくごく普通のいわゆる、大阪のおばちゃん」「不出来な息子で、もう一生分くらい泣いてましたね」

 順一さんは当時、圧力で潰れるほどの悲しみに暮れたといいます。

 一夜明け、2人を早く落ち着かせてあげたいと思った順一さん。しかし、当時は医師が不足していて、検視ができない状態でした。そんな中、医師であった順一さんが自ら検視を買って出ました。

 (順一さん)「遺体を次どこかへ移動するとなっても、検視しないとそこから動かせないと、警察の方から言われたので。最初で最後の医療行為じゃないけど、親孝行でもなんでもない、僕が母親とかおばあちゃんにしてあげた医療行為の最初で最後がそれなので」