■崩れた建物の中に“幼なじみが…”

その時。駅前の見慣れた建物が崩れ、炎が立ちのぼっている様子が、安田さんの目に飛び込んできました。その建物は、安田さんの小学校からの幼なじみ、山口恵介さんがよく寝泊りしていた祖母宅でした。
「よう僕の言うことで笑ろてくれたし、(僕に)『芸人「芸人なれや」』『おもろいな』と言ってくれた同級生が恵介です」(安田さん)
建物に近づこうとする安田さんは消防隊員らに止められました。

――証言をもとに当時を再現
「君、危ない」(消防隊員)
「恵介…親友がこの下にいるかもしれないんです」
「行くな!余震もまだあるし、崩れてくる可能性もあるんやぞ!」
「ちょっと恵介のお母さんに電話してくるわ」
安田さんが向かった公衆電話には、長蛇の列ができていました。「もし実家にいれば恵介は生きている」願うように電話した安田さん。

――証言をもとに当時を再現
「安田です。おばちゃん、恵介は、恵介はどこにいます?」
「裕己くん、大変やったね。恵介はおばあちゃんの家に泊まっているよ」(恵介さんの母親)
「そのおばあちゃん家が崩れているんです!おばあちゃん家が崩れているんです」