どうすれば生み分け可能に?
男の子、女の子を確実に産み分けられる方法は存在しない。それを前提に、専門医による産み分けの指導は、‟膣内の酸性度”をコントロールする事を基本に行われる。X精子は酸性の環境に強く、Y精子はアルカリ性の環境に強いといわれており、専用のゼリーなどを使って女の子を希望する場合は膣を酸性の状態に、男の子を希望する場合は膣をアルカリ性にする。

他にも、希望する性別の精子を選別する方法や、受精卵の染色体を調べて子宮に戻す着床前診断などがある。
森崎医師が所属する「SS研究会」では、基礎体温表をつけて排卵日を把握しながら、避妊や受胎性交(妊娠のための性交)日のタイミングなどを指導していく。

長崎県医師会 森崎正幸会長:
「食べ物で男女を生み分けることはほぼ不可能です。自然の摂理に反することなく、限りなく自然に近い方法で、生殖医学の根拠に基づいた工夫を加えて、性選択の成功率を高めていく、それが男女生み分け法なんです」
重篤の遺伝病の回避にも
男女の生み分けは、体外受精で得られる受精卵の着床前診断を用い、重篤な遺伝病を回避するために選択されるケースもある。
親から子へ伝わる「伴性劣性遺伝病(X連鎖劣性遺伝病)」。代表的なものには、血友病(AB)、赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどがあり、X性染色体にある遺伝子の異常によって起こる。
男性(XY)はX染色体が1個しかないため、病気の遺伝子を受け継ぐと必ず発病する。一方、女性(XX)はX染色体が2個あるので、片方が病気の遺伝子でも、もう片方が正常であれば、発病しない可能性がある。
男女生み分けによって、遺伝病そのものが治るわけではない。しかし「潜在者(病気の遺伝子の保因者)となっても、発病しないのであれば女の子をうみたい」との願いがあるのだ。
長崎県医師会 森崎正幸会長(宝マタニティクリニック院長):
「妊娠は神秘的なもので、本来は性別もわからないものです。人間の原点なのでベールがかかっていていい。しかし性の選択に関して私は悪いとは思いません。自然な営みの中で若干補助的にお手伝いします」

「夫婦で性別を選択するという決断をし、努力をする訳だからそれはすごいいいこと。もしうまくいかなかった(希望する性別ではなかった)としても、生まれたら誰もが喜びにあふれる。赤ちゃんは周りを幸せにするパワーを持っています」