2025年最初のスポーツ日本一が決まるニューイヤー駅伝 in ぐんま(第69回全日本実業団対抗駅伝競走大会、1月1日に群馬県庁発着の7区間100kmで実施)で、地元群馬県出身の同学年の2人が注目されている。
10000m日本記録(27分09秒80)保持者の塩尻和也(28、富士通)は伊勢崎市の伊勢崎清明高出身。SUBARUのエースで10000m27分31秒27を持つ清水歓太(28)は高崎市の中央中等教育学校出身。塩尻が大学時代に3000m障害で16年のリオ五輪に出場し、箱根駅伝エース区間の2区では区間日本人歴代1位記録もマークした。10000mでは昨年日本記録(27分09秒80)を樹立。塩尻が注目されてきたが清水もSUBARU入社後のチーム改革と軌を一にして力を伸ばし、塩尻とも勝ったり負けたりするまでになった。塩尻が10000m日本新を出した昨年の日本選手権には清水も出ていたが、「一番悔しかった」と言う。25年元旦に2人の軌跡はどう交わるのだろうか。
◇ニューイヤー駅伝の区間と距離、中継所
1区 12.3km 群馬県庁~高崎市役所
2区 21.9km高崎市役所~伊勢崎市役所
3区 15.3km 伊勢崎市役所~三菱電機群馬工場
4区 7.6km三菱電機群馬工場~太田市役所
5区 15.9km 太田市役所~桐生市役所
6区 11.4km 桐生市役所~伊勢崎市西久保町
7区 15.6km 伊勢崎市西久保町~群馬県庁
3000m障害で高校歴代2位 大学時代に五輪出場、箱根駅伝と快進撃を続けた塩尻
群馬県出身同学年2人の関係は、清水が塩尻の背中を追い続けてきた。
塩尻が中学時代はソフトテニス部だったため、高校1年時は清水の方が強かった。「初めて清水選手のことを知ったのは群馬県の高校総体(インターハイ県予選)で、清水選手が入賞(5000m4位。塩尻は18位)していて、同じ1年生なのにすごいな、と思いました」。
しかし1年の秋から塩尻がぐんぐん強くなり、新人戦5000mでは清水が優勝し塩尻が4秒差の2位。2年の県高校総体5000mでは塩尻が8秒差で勝った。その後の塩尻は3000m障害で全国トップ選手に成長していく。インターハイで5位に入賞。直接対決する5000mでは「塩尻が2回勝って僕が1回勝つ」(清水)という戦績だった。
3年時には塩尻が3000m障害でインターハイ優勝。記録も高校歴代2位(当時)をマークし、日本の3000m障害を担う選手と期待され始めた。清水も「そこは見て見ぬ振りをしていました。勝負は5000mだぞ」と塩尻の勢いへの対処に困っていたようだ。
大学でも塩尻が加速する。順大2年時に3000m障害でリオ五輪に出場。3年時には10000mを中心に出場し27分47秒87をマーク。4年時には箱根駅伝エース区間の2区で1時間06分45秒と、20年ぶりに区間日本人最高記録を更新した。清水も早大3年時に箱根駅伝9区区間賞で走ったが、塩尻との差は開く一方だった。
「大学では駅伝に出るにはどうしたらいいか、自分のことで精一杯で、ライバルだっていう意識も薄くなっていました。しかし箱根駅伝の選手名鑑のライバル欄には、笑われてもいいから塩尻の名前を載せていました。そこをブラしてしまったら、走ってもいないのに負けてしまう気がしたからです」。
大学時代の2人は、「おそらく同じレースを走っていない」(塩尻)。しかし清水がその気持ちを持ち続けたことが、SUBARU入社後の成長につながっていく。