佐々木希の写真から受けるインスピレーション

──本作の執筆プロセスを教えてください。

プロデューサーの天宮沙恵子さんからいただいた企画書に「復讐劇」というテーマが記されており、それをもとに物語を組み立て始めました。最初は漠然としたアイデアだったものが、モンスターのような人物とその復讐者の対決へと具体化していき、天宮さんと相談しながら第1話と第2話の構想を固めました。その後、3話以降の脚本は「自由に書いてください」と任され、プロデューサーの皆さんと練った全体プロットをベースに進めていきました。

──脚本の構成では、どのような工夫をされているのでしょうか。

本作に限らず、キャラクターシートを作成しています。どの作品でも作る資料で、私は脚本を書く際に必ず作ります。キャラクターシートとは、「この人はこういう人物像」という情報を具体的に伝えるための資料です。たとえば主人公・紗智子の場合、好きな料理や子どもの頃の夢など、彼女の背景や性格を細かく設定していきます。改めて考えてみると、私は人間が好きなんだと思います。登場人物の詳細を掘り下げながら、キャラクター設定を考えていくと「よっし、始まった」とドキドキするんです。

──実際に演じる俳優陣のイメージは、執筆に役立てられていますか?

脚本を書き始めて中盤に差しかかった頃に、本作のキャストが決定しました。それからは、キャラクターイメージを役者さんに重ね合わせています。執筆する前に、その方の写真に話しかけてみたり、ですね(笑)。たとえば佐々木希さんだったら、いちばん紗智子に近いと感じる写真を探すんです。あくまでも、私の感覚ですが…。その写真からインスピレーションを受けて「この人は紗智子として、どう話すだろう」と想像しながらセリフを考える。それぞれの特徴や声のトーンひとつにも癖があって、動画も参考にしています。やはり、その方に合う言葉を選び抜きたいんです。演じることが難しくなるような話しにくい言葉やフレーズを避けて、キャラクターに合わせた脚本を書きたいし、そんなふうに脚本を作る工程はとても楽しいですね。