2023年12月から全国で始まった『心情等伝達制度』です。犯罪被害者や遺族の気持ちを刑務所などの職員が聴き取り加害者に伝えるもので、希望すれば、加害者の反応や答えを書面で知ることができます。これまで、服役中の加害者に被害者が思いを伝えられる制度はありませんでした。

法務省によりますと、12月20日時点で全国では113件、中国地方では10件の思いが伝達されました。心情を伝達した被害者からは「被害弁済をしてほしい」「反省・謝罪をしてほしい」「収容施設で何を考え、何を学んでいるのか知りたい」のほか、「一生許すことができない、更生は期待していない」などの声が聞かれたということです。

松本里奈さん
「すごくいい制度が始まったなと思いました。服役を終えて、罪を償ったで終わってしまう人(加害者)が多いと知る中で、まだ服役中に被害者の思いを伝えるのはすごく大事。出所すれば生活があるので事件・事故にだけ向き合ってはいられないけれど、矯正施設の中では向き合うことに集中できる。加害者側にはそいういう時間だと思ってほしい」

一方で、『心情等伝達制度』を利用した被害者をサポートする仕組みの必要性も指摘しています。

松本里奈さん
「利用した方の体験談を聞くなかで、被害者が心情を伝えたときに、必ずしも望むリアクションが返ってくるわけではないこともある。その場合、さらに二重に傷ついてしまう。それをサポートする人がいなければ、また被害者が一から踏ん張らないといけないのはしんどいなと思います」

松本さんも、法務省が2007年から実施している、仮出所などで保護観察の対象となった人に心情を伝達する制度を利用していました。加害者側の保護司に面談して思いを伝えてもらったといいます。

松本里奈さん
「その時に一番伝えたのは、直接謝罪に来てほしいということ。あなたは主人の顔も分からないかもしれないから。ぜひ、一度手を合わせてほしいと」

しかし、12年経った今も加害者から謝罪の言葉はありません。