大分大学の研究グループが竹を使って開発した新素材「セルロースナノファイバー」について、アウトガスを放出しないことが世界で初めて実証されました。同グループは宇宙空間での活用を目指し、さらなる研究を進めています。
大分大学理工学部の衣本太郎教授は、放置された竹林が周辺の環境を荒らすなどの社会問題に着目し、約20年前から県内各地に群生する竹を活用した研究を開始しました。

衣本太郎教授:
「需要が減った一方で竹はどんどん増え続けている。竹害の現象が起きているのを聞いて何か役に立ちたいと思ったのがきっかけです」
衣本教授が開発した「セルロースナノファイバー」は、竹の繊維からセルロースという成分だけを取り出し、微細化した素材で、製造時に化学処理しないのが特徴です。
そして今年、JAXA=宇宙航空研究開発機構がこのセルロースナノファイバーを測定した結果、有機性ガス=アウトガスを放出しないことが実証されました。

アウトガスは、人工衛星に多く使われているプラスチックや接着剤から放出され、観測カメラのレンズを曇らせる原因となっています。このため、アウトガスを発生させない材料が望まれていました。
衣本太郎教授:
「宇宙関連は時間とコストが膨大にかかっているので、アウトガスを放出しないという特性を出したことは非常に意義があることだと思っています」