高知県内で2024年に起きた特殊詐欺の被害は、およそ2億円にのぼっています。様々に変化してきた特殊詐欺の手口。いま、私たちはどのようなことに注意するべきなのか、取材しました。
2024年に入り、県内で急増した特殊詐欺の被害。副業名目や交際あっせん、警察官をかたるものなど手口も様々で、高齢者だけでなく幅広い年代の人が被害に遭っています。県警によりますと今年の特殊詐欺の被害件数は52件。被害金額はおよそ2億円で、ここ数年と比較すると件数も被害金額も大きく増えているのが分かります。

中には「家族に知られたくない」「被害金額が少ない」などという理由から被害届を出さない人もいるといい、実際の被害はこれ以上だということです。年齢別にみると、60代に被害が集中していますが、10代・20代が被害に遭ったケースもあり「若いから大丈夫」と油断は出来ません。

1人当たりの被害金額も幅広く、少ないものは数万円から多いものでは7000万円を超えたケースまであります。

県警・生活安全企画課の近藤秀明(こんどう・ひであき)課長補佐は被害に遭わないために詐欺の手口に目を向けてほしいと話します。
(近藤秀明 課長補佐)
「手口が多様・複雑化してきていますので被害者の方が騙されやすくなっている手口が増えているように思います。特殊詐欺の多発する手口を理解していただきたいと思います。手口を理解しないままでいると詐欺に対する抵抗力が弱まりますので県警のホームページ、その他報道されている詐欺の手口について興味をもって見ていただくとともに、家族などで話し合って家族ぐるみでの防止をよろしくお願いしたいと思います」
■藤崎美希 アナウンサー
先ほど「手口を理解していただきたい」という話がありました。ここからは記者解説を交えてお伝えします。野中記者です。

■野中麟太郎 記者
きょうは「警察など捜査機関をかたる」手口について解説していきます。この手口、去年はありませんでしたが、今年は7件あった「オレオレ詐欺」のほとんどが「捜査機関をかたる」ものだったといいます。手口を詳しく見ていきます。1つ目は実在する警察の電話番号を表示させて電話をかけてくるというものです。

犯人は+1から始まる警察の電話番号や末尾が0110の電話番号を使い警察官を名乗って電話してくるケースがあります。その後、逮捕をほのめかしたり「あなたが事件に関与している」などとして「捜査に必要」「一時的に逮捕されない」などと送金を要求してきます。

■京面龍太郎 アナウンサー
「逮捕」「捜査」などという言葉が出ただけで、こちらとしては不安に感じてしまいそうですね。実際には電話でそのような情報をやりとりすることは無いんですよね?
■野中麟太郎 記者
ありません。国際電話を経由して、ということになりますが、実在する警察署や「0110」の番号を使って信用性を高めたうえで、不安にさせるというのが、犯人側の狙いとみられます。警察も電話で逮捕をほのめかしたり、捜査状況を伝えたりすることはないと断言していますので騙されないようにしてください。
■野中麟太郎 記者
続いて2つ目の手口は警察手帳や逮捕状のようなものを見せて信用させてくるということです。警察官をかたる特殊詐欺は電話からLINEなどの通信アプリにやり取りが移行する場合があります。その際、写真やビデオ通話で警察手帳や逮捕状のようなものを見せてくることがあるといいます。

警察手帳そのものや逮捕状の様式など、普段見ることがないので、さらに「不安」が重なり、相手の指示に従ってしまうケースがあるといいますが、こちらも、警察官が警察手帳や逮捕状を写真で送信したりビデオ通話で見せたりすることは絶対にありません。
■藤崎美希 アナウンサー
このような不審な電話やLINEが来た場合はどうすれば?
■野中麟太郎 記者
警察は、少しでも怪しいと思ったら警察総合相談電話#9110か最寄りの警察署に相談するよう呼びかけています。

毎年といっていいほど、様々な詐欺の手口が生まれています。警察などの呼びかけにふれその手口を知ることに加え、ぜひ、周りの方にも注意を呼び掛けていただいて家族・地域ぐるみで被害を防いでほしいと思います。