これまでも番組では東京五輪をめぐる様々な問題を取り上げてきましたが、“オリンピックとカネ”をめぐる問題に東京地検特捜部の捜査のメスが入りました。今回、私たちは特捜部から参考人として聴取を受けている関係者を独自取材。そこから見えたのは、底が見えない東京五輪をめぐる“負の側面”でした。
■特捜部が“参考人”として聴取する関係者を独自取材「ごりごりのビジネスをやっている人達がいる」

東京オリンピック・パラリンピックが終わり1年。
当時、報道特集は、大量の弁当が廃棄されたり、広告代理店などによる多額の“中抜き”により経費が大きく膨らんだりした実態を報じた。
この“オリンピックとカネ”をめぐり、事態が動いた。
大会組織委員会の元理事、高橋治之容疑者(78)がスポンサー企業から依頼を受け、多額の賄賂をもらっていたとして、東京地検特捜部に逮捕された。
特捜部が“参考人”として聴取をしている関係者が、報道特集の取材に応じた。
特捜部が聴取する関係者
「正直、私も何回も特捜部に呼ばれているので、そこで聞かれている内容とか話している内容というのは、高橋元理事の今回の件はすごく色々な件がある」
「『我々(特捜部)は何年前からこれを準備していると思っているんですか』と言われた」
「並々ならぬ彼らの意欲を感じる」
東京地検がまず着手したのは、2つのルートによる贈収賄だ。
紳士服大手AOKIと出版大手のKADOKAWAがスポンサーとして便宜を図ってもらうよう依頼し、高橋元理事のコンサル会社「コモンズ」などを通して現金を支払ったというもの。賄賂の疑いは総額1億2700万円に上る。
国や都から金が投入されている組織委員会では、職員は“みなし公務員”とされる。
高橋元理事も“みなし公務員”だ。自身のコンサル会社を通したとしても、理事の仕事に関わる依頼で受け取った現金は賄賂になると特捜部は見ている。
AOKIに便宜を図ったとされていることについて、高橋元理事は…

高橋元理事(逮捕前にJNNの取材に対し)
「組織委員会にAOKIのアの字も出したことは無い」
ただ、関係者は全く異なる証言をする。
特捜部が聴取する関係者
「高橋さんがAOKIと『洋服の青山』の違いを森さん(当時・組織委会長)が分かっていないから、1回説明に行った方がいいと言って、AOKIと面談の場を設けたみたいな話があった」
特捜部は当時、組織委員会の会長だった森喜朗元総理(85)を参考人として複数回、聴取している。
ーーこういった側面は(あなたは)想像だにしていなかった?
特捜部が聴取する関係者
「すぐ近くでこんなことが繰り広げられていたということが、意外であり意外でもない」
「アマチュアイムズを大切にしているオリンピックの隣で、ごりごりのビジネスをやっている人達がいる」