「トランスジェンダーであることから絶対に逃れたくない」 榎本さんの目標は?

手術から約1か月後、患部を固定していたバンドがついにとれた榎本さん。恐る恐る、久しぶりに腕立て伏せをした時には、こんな喜びもあったそうだ。

「運動を心から楽しめるようになるのかもしれないっていう気持ちになりました。スポーツは体と向き合わなくちゃいけなくて、その体が一番自分にとっては見たくないものだからきつかったんですけど、それがかなり軽減された。大事にしたいなって思える体でスポーツができるっていうことが、楽しいのかもしれないって思いました」

榎本さんは今、教育について学んでいる。「トランスジェンダーであることを受け入れられなかった自分が、強烈な経験になっている」と語る。

「自分がトランスジェンダーであることからも絶対に逃れたくないと思っていますし、そういうアイデンティティーに悩む人たちがいかにして元気に生きられるようにしていくかっていうところにすごく興味があります」

“学び合い”を力に、自分らしい人生をつかみ取ってきた榎本さん。そんな彼が、今度は周りに力を与えていく番だ。