■再生可能エネルギーへの期待
今回注目した映画「原発をとめた裁判長」は、原発の危険性を訴えるだけでなく、後半、その代わりとなる再生可能エネルギーへの農家たちの取り組みに注目していきます。
それは、「ソーラーシェアリング」という取り組みです。
これは「農業と太陽光発電の二毛作」とも言える手法で、畑の上に、簀の子状に太陽光パネルを設置。その合間から落ちる太陽光で農作物を育てながら、同時に太陽光発電をします。こうして地域の農業とエネルギーを支える仕組みです。

映画では、福島県二本松市でソーラーシェアリングに取り組む「二本松営農ソーラー株式会社」の近藤恵さんや、その下で1つの農場を仕切る19歳の農場長、塚田晴さんの姿が描かれます。

■映画は社会に開かれている
最後にこの映画を作った小原浩靖監督にも伺いました。

ーーこの映画を作ったきっかけは?
映画監督 小原浩靖さん
「最初は、弁護士の河合弘之さんから、元裁判長の樋口さんの主張をYoutubeにアップしようという話を頂いたんです。ただ、私はYoutubeより、映画の方がいいと思いました」
ーーなぜ映画の方がいいと思ったのでしょう?
映画監督 小原浩靖さん
「映画は、社会に開かれているんです。例えば「スパイダーマン」を見に来た人が、予告編でこの映画を観て興味を持ったり、子どもと「アンパンマン」を見に来た人が、この映画を知って再生可能エネルギーに興味を持ったりすることがあるでしょう。だから映画にしたかったんです」
ーーそうして出来たこの映画、どんな人に見てもらいたいですか?
映画監督 小原浩靖さん
「目標としては、原発推進の人たちに見てもらいたいっていうのが大きなところですね。そしてもう一つは、高校生、高校生は今選挙権もありますから、ぜひですね、そういう若い人たちにも見てもらって。若い人たちは、大いに刺激を受けると思うんです」
ーーそれはどういうことでしょう?
映画監督 小原浩靖さん
「それは、自分と同い年ぐらい、もしくは年下っていうぐらいのね、19歳の農場長、こんなふうに生きてるんだっていうことに、大いに刺激を持たれると思うし、自分たちのお父さんよりもずっと上の世代の人たちが、間違っているものは間違っているんだっていうふうにはっきり物を言っている。日本も捨てたもんじゃないなっていうふうに思ってもらえるんじゃないかなっていうふうに、感じながら作りましたね」
小原監督は、今後も、再生可能エネルギーに取り組む農家に注目を続け、続編を作りたいとお話していました。

映画「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち)は、東京では「ポレポレ東中野」で、10月7日まで上映中。ほか全国順次公開される予定です。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)