他党からは“与党気取り” 国民民主はどこにむかうか?玉木氏の胸の内は…
国民民主党は今後どういう道を歩むのか。選択肢としては主に3つある。1つは自民、公明の連立に加わり、与党入りをめざすこと。2つめは、政策ごとに連携する相手を選ぶこと。3つめは、他の野党と連携して政権交代をめざすこと。
では、今のスタンスはどうかというと、玉木氏はこのように話す。
「野党から離れていないし、与党にも近づいていません。私達は各党等距離、あえて言えば、国民の皆さんに近距離でやっていきたいと思います」(11月28日 代議士会での挨拶)
つまり政策によって、与党についたり野党についたりするという2番目の立場だ。世論調査の結果でも「政策ごとに連携する相手を選ぶ」が最も多く52%だった。国民民主党の支持層も、71%の人がこの立場を望んでいる。

一方、立憲民主党としては、国民民主党は「兄弟政党」と位置づけており、協力して政権交代を実現したいと考えているが、玉木氏は「憲法、外交・安全保障、エネルギーなど基本政策が一致していない」として消極的だ。
こうした国民民主党のスタンスに立憲民主党の中堅議員は「与党気取りだ。自分が国を動かしているみたいに思っているんだろう」と厳しい。
では、将来的に「与党入り」はあるのだろうか。
玉木氏はこれまで何度もこの質問を聞かれては「連立は考えていない」と否定している。ただ衆院選で大幅に議席を伸ばし、状況は一変した。選挙戦で訴え続けた「103万円の壁」は自公との協議で、上げ幅はともかく、引き上げることが決まった。その高揚感からか、玉木氏は周辺に「今後どこまで与党と与するべきか正直迷っている」と吐露している。訴えた政策を実現するためにはどういう行動をとるべきか、これが玉木氏にとって最大の判断材料となる。
受け入れる側の自民党はどうか。
かつて少数与党に陥った自民党は、“宿敵”社会党と連立を組んだり(94年自社さ連立)、“悪魔にひれ伏してでも”小沢一郎氏が率いる自由党と組んだり(99年自自公連立)、政権基盤を安定させることに腐心してきたが、現状そのような動きは表面化していない。
第2次石破内閣が発足した11月11日夜、“少数与党”になったことについて聞かれた石破総理は、こう語った。
「ある意味でこういう状況というのは民主主義にとって望ましいことなのかもしれません。与党が過半数を割ったことが望ましいと申し上げているのではなくって、より議論が精緻になるということだと思っております」(11月11日記者会見)
石破総理にとっても、がむしゃらに連立相手をさがし政権を安定させるよりも、まずは、しばらく野党と丁寧に合意形成をはかることを優先する方針だ。