「有給に、なんで『ありがとう』なのか疑問を感じる」

従業員からではなく、経営者からも相談を受けることがあるという小栗さん。より有給を取りやすくする環境整備のために、『計画有給』を経営者が使うケースが多いと話す。

社会保険労務士 小栗多喜子さん
「計画有給の制度というのは、年に5日間は自由に使える有給を残して、5日間を超える部分は、会社が時季を指定して有給を取らせることができるというものです」

他にも有給取得を促進する制度として、誕生日などに使える『アニバーサリー有給』の対象として、両親や子ども、ペットまでOKという会社もあったり、『親孝行有給』と称した有給を設けている会社もあったりするという。ちなみに、親孝行有給は取得すると1日5000円が出るそうだ。

一方、街では「『有給取得させていただきまして、ありがとうございます』のような言い回しをする。別に使っていいものなのに、なんで『ありがとう』なのか疑問を感じる」(43歳男性・会社員)という声もあった。

さまざまな取り組みがある中で、小栗さんは、会社と従業員の立場の違いを感じると話す。

社会保険労務士 小栗多喜子さん
「いろんな制度で休みやすい世の中になってきているが、生産性を落としてはいけないとも言われる。経営者からは『もうどうしたらいいの?』といった相談があります。

『取りたい従業員』と『取らせたくない会社』という二重構造のようなもの(の溝)は、埋まらないのではないかなと思います」

年末年始は「有給」か「休日」か

余談だが、今年はカレンダーの並びもよく、9連休の人も多いと聞く。

街行く人に“年末年始は有給として休んでいるか”について聞くと、「カレンダー通りなので、有給かどうかってあまり気にしたことがない」(36歳女性・事務職)という人がいた。

年末年始の休みは、有給を使わなくても休日扱いなのか?それとも、有給を取らなければ休みにならないのか?

どのような枠組みでの休みなのだろうか。

社会保険労務士 小栗多喜子さん
「年末年始が、もともと会社で定められた休みの場合は、有給休暇を取る余地はありません」

つまり、会社の規定によって違ってくるため、年末年始が有給かどうかは、それぞれの会社次第。就業規則を確認する必要がありそうだ。