■勝手に処分すると「損害賠償請求」される?
ここで重要なキーワードとなるのが、民事法の考え方「自力救済禁止の原則」なのです。法律の専門家に聞きました。

ひまわり法律事務所 佐々木悠輔弁護士:
「自分の権利の及ぶ土地なので、自力で撤去してもいいじゃないかと、そういった発想に通常はなるが、それは自力救済という形になり禁止されている」


「自力救済禁止の原則」は、あくまでも裁判などの適正な司法手続きを踏んで、自分の権利を実現するという、社会の基本的なルールなのです。

なぜなら、自力救済によってトラブルの解決を行うことを認めれば、権利実現のため過度の暴力が用いられたり、権利がないのに実力行使がなされたりといったことが起こりうるため、社会秩序の維持が難しくなってしまいます。
ひまわり法律事務所 佐々木悠輔弁護士:
「街の中で駐車場の看板に『放置車両があればタイヤロックをしたり撤去する』といった文言が書かれた看板を見かけるが、実際にそのような行為をしてしまうと、自力救済として違法性を問われたり、損害賠償請求を受ける危険もある」



この会社でも放置車両が出ると、車の持ち主を相手取って裁判を起こし、裁判所の許可を得てから撤去や処分をしています。弁護士費用を含めて最低でも数十万円が掛かると言います。

放置車両の撤去にかかる費用も、駐車場管理会社が車の所有者に請求しますが、所有者が分からないことも多く、その場合、駐車場管理会社が泣き寝入りしているそうです。
駐車場管理会社担当者:
「もう少し法手続きを簡素化してもらって、管理会社やオーナーの費用負担が少なくて住むような改正をしてもらいたい」


法改正を含め、放置した人が「乗り捨てたもの勝ち」にならないよう、対策していく必要もありそうです。