給与の支払われ方に新たな選択肢が加わります。
厚生労働省は、2023年度にも「デジタル給与払い」を解禁する方針を明らかにしました。アプリへのチャージなどの手間が省ける一方、スマホの紛失時や保証についての不安も・・・。メリットや課題について考えます。

■「スマホ決済アプリ」で給与払い 2023年春に解禁


労働基準法では、給与は本来、働いている人に「現金」で払うことを定めており、例外として「銀行口座」などへの振り込みが認められています。
今回さらに、電子口座「〇〇ペイ」への企業からの給与の支払いを2023年春にも解禁するということです。

対象は、「PayPay」、「楽天ペイ」などのスマホ決済アプリで、アプリ口座残高の上限が100万円。100万円を超える分は、従来通り銀行口座などに振り込まれます。
ただし、アプリへの支払いは、労働者が同意する場合に限られます

■利用者側・企業側 それぞれのメリットは?


≪利用者側のメリット≫
▼現金で引き出す手間が省ける
▼スマホアプリにチャージする手間が省ける
▼スマホ決済業者間で競争がおこり、“ポイント付与合戦”など給与以外に特典がついてくる可能性がある


≪企業側のメリット≫
▼銀行への給与振り込みの手数料・事務負担が軽減
▼給与の“即日払い”ができ、副業などで働く人材の確保につながる

■アンケートでは利用に否定的な意見が6割超


「デジタル給与」を利用したいかどうか、18歳から59歳の男女、6080人を対象としたアンケートを見ると、7割近い人が「利用したくない」「あまり利用したくない」という結果となっています。

街の人からは、賛否両方の声が聞かれました。
20代
「現金にこだわる必要もないし、キャッシュレスの世の中ですごく生活しやすくなるのかな」
60代
「今後の流れとしては賛成」
20代
「(町が)栄えていないところでは現金の方が重要」
50代
「(給与の)ありがたみが薄れるのかな、どうなのかなと」
50代
「別にそうなったらそうなったで対応するんだけど、日本人の習慣として、やっぱり現金が見たいじゃないですか。預金通帳とか」

コメンテーター 高橋みなみ:
私デジタル弱いんですよ。できたら現金でいただけると嬉しいなと。

弁護士 八代英輝:
「デジタル給与」は、使っている実感を伴わずに減っていってしまうリスクがあるので、面倒くさくても1回1回移すことが望ましいと考える人が結構います。
また、振り込み手数料についてですが、今「〇〇ペイ」はサービスとして手数料をかけていないだけであって、これが世の中にものすごく普及していったら、おそらく手数料方式になってくるんじゃないかという見方もありますね。

落語家 立川志らく:
いや、私はもう現金。いまだに現金。LINE_Payだけは持ってるんだけど、コンビニで使うときドキドキするんで、結局現金で払っちゃうタイプなんですよ。私には全く分かんない世界。

恵俊彰:
八代さんがおっしゃったみたいに、いくら自分が稼いでいるのか、どのぐらい必要なお金があって出ていくのか、という把握が一番大事ですよね。