消えた300億円はどこに? 前社長が内訳を明かす

喜入友浩キャスター:
船井電機でいったい、何が起きているのでしょうか?まずはこれまでの動きを振り返ります。

10月24日、創業家の親族の取締役の男性が、準自己破産を申請しました。そして原田会長は10月30日、まだ会社は存続できると、その手続きの取り消しを求め即時抗告しています。

準自己破産とは、なかなか聞かない言葉ですが…。

MBS報道センター 中村真千子 記者:
まず今回のように、船井電機のような規模の会社が存続する形ではなく、破産を選ぶこと自体が非常に珍しいといわれています。

しかも準自己破産ということで、確かに聞き慣れない言葉ですが、これは取締役会などを経なくても、たった一人でも単独で申し立てができる手続きです。

これ自体が珍しいのに、申し立てたその日に受理され、開始決定が出るという流れになっています。かなり準備をかけていないと認められることにはなりませんので、その意味では本当に異例ずくめの動きだという印象です。

上村彩子キャスター:
経営陣の中でも、考え方は対立していたとみていいのでしょうか?

MBS報道センター 中村真千子 記者:
少なくとも原田会長は会社の存続を考えており、12月2日には民事再生の申し立てを行う予定になっています。

喜入キャスター:
民事再生を求めても、勝算はどうなのでしょうか?

MBS報道センター 中村真千子 記者:
もう開始決定が出ているものなので、これを覆すのはかなりハードルが高いといわれています。

喜入キャスター:
そしてもう一つ、不可解ともとれるのが消えた約300億円です。

2021年5月に船井電機を出版社が買収したのですが、買収前は船井電機の預金が347億円ありました。しかし破産を申し立てたときには、預金がほぼなかったということです。

破産を申し立てた取締役の男性いわく「会社を守るため」とのことですが、その発言や思いとは矛盾があるように思います。

MBS報道センター 中村真千子 記者:
買収した出版社の社長(船井電機の前社長)に取材したところ、この300億円について内訳を説明してくれました。

【消えた300億円は?】(買収した出版社の社長によると)
●船井電機買収で銀行への返済:180億円
●創業者の息子への自己株買い:44億円
●創業者の息子への返済:27億円
●M&A資金と関連会社への貸付:約50億円

きっちりとした手続きも取られていますし、複数の人に聞きましたが、これ自体に不可解な点はないという話です。

関連会社への貸付に関しては、大手脱門サロン会社が1年以内という短期スパンで売買されているため、今後注目してみていきたい点になります。

上村キャスター:
困惑している従業員の方も多いと思うのですが、今どうされているのでしょうか?

MBS報道センター 中村真千子 記者:
次の再就職先を探すために、皆さん活動を急がれているような状況です。

上村キャスター:
元社長の経営判断や、資金の管理が今後最大の焦点となりそうです。

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<プロフィール>
中村真千子
MBS報道センター経済班キャップ
関西経済界のトップを数多く取材