メスにふられたら「やけ酒?」ショウジョウバエのオスの生態

ーショウジョウバエは実験生物としても有益だそうですね。

(大野さん)
「ショウジョウバエは、飼育しやすく、遺伝子解析も進み、実験生物として人の役にも立っている生き物ですが、面白い生態をご紹介します」

「カリフォルニア大学サンフランシスコ校のUlrike Heberleinとハワード・ヒューズ医学研究所ジャネリア・ファーム(バージニア州アシュバーン近郊)のGalit Shohat-Ophirらの研究では、『メスにプロポーズをしてあえなくふられたオスはやけ酒をあおる』というものがあります」

「オスは気に入ったメスを見つけると、頑張って口説き落としにかかります。歌を歌うように翅を震わせ、メスのおなかをさするようなボディタッチを繰り返します」

ーなかなかモテないかわいそうなオス、彼の恋は成就するのでしょうか?

(大野さん)
「メスは後ろ足でオスを蹴飛ばし、オスから離れるように飛び去って行き、プロポーズは失敗。コテンパンに振られて、残されたオス一匹。しばらく呆然とメスを見送った後、やっぱりお腹はすくもの、食事をとります」

「そんなオスが好むのはより発酵が進んでエタノールが多い、お酒成分たっぷりのエサだそうです。まるでメスに振られた傷心をいやし、さっきの失恋を忘れるようにお酒がしっかり含まれたエサを好んで食べます」

「とはいえ、しばらくすると失恋の傷から立ち直り、新たな恋を探しに旅立ちます。また振られたらやけ酒に戻ってくるのですが、恋が成就した後はやけ酒はしなくなるそうです」