バーホーさんは1964年にマサチューセッツ州に生まれ、豊かな自然に囲まれた場所で育ちました。
十代の頃にアメリカ先住民の人々の自然とともに生きる生き方に強く共感し、共に暮らしながらさまざまな知恵を授かり、彼らの精神世界を探求しました。
その後、大学で脳科学や心理学を学ぶ日々の中で出会ったのが、アジアやアフリカの打楽器でした。
とりわけ、バーホーさんの心を捉えたのがインドの伝統的な打楽器「タブラ」でした。

バーホーさんは60歳になるのを機に世界中を飛び回る生活にひと区切りをつけて、自分と家族の居場所を探すことにしました。その背景にあったのは、アメリカが抱える社会不安の問題でした。

(タイ・バーホーさん)
「アメリカで暮らすことも考えて、故郷のマサチューセッツやコロラドなどを訪れました。アメリカには素晴らしい人々もたくさんいますが、私たちは常に多くの犯罪や銃、暴力的な人々の言動そして社会に漂う不幸感に直面していました。子どもたちが健やかに成長するため、優しく安全な場所を求めてアメリカ国外を探し始めたのです」

カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、オランダなど数々の国で居場所を探し求め、日本を訪れたのは1年半前のことです。
日本人の妻の育美さんとふたりの子どもを連れて、群馬県から北海道に向けて車で家族旅行をする途中に偶然立ち寄ったのが遠野でした。