「40歳で150キロ近い球を投げ込むサラリーマン」

私も、実際に佐竹さんの投球練習を見て思った。はっきりいって引退する人の球ではない。40歳にして150キロ近い速球を投げ込んでいた。もっと現役を続けたい、という気持ちはないのだろうか?こんな豪速球、投げたくても投げられない人はたくさんいるのに(もちろん私も)。

投球練習する佐竹さん

佐竹さんはさらっと答えた。

「僕はサラリーマンなので結局は人事異動じゃないかと思う」

返ってきた答えは想像していなかったものだった。昨年末に、チームから引退を言い渡された佐竹さん。それまでは「野球が仕事」。引退後はまた別の仕事を頑張るだけなのだという。

家族に引退の報告をしたとき、妻と3人の娘からは「えっ?そうなの?お疲れ様」とだけ告げられて、10秒ほどで解散したらしい(あくまで佐竹さんの記憶では)。それもまた、私には想像できるはずもなかった。