「あまり罪悪感を感じなかった」境界知能の非行少年の証言
少年院で増える境界知能の少年たち。今回特別に話を聞くことが許された。

ーー本件は何?
少年(16) 窃盗
「特殊詐欺。受け子も出し子もどっちも。SNSで検索したけど、お金稼げる仕事、闇バイトが出てくる。1日何十万円と書かれていて、どれにしようかなみたいな」
ーーおかしいと思わなかった?
「あんまり考えてなかった。『住所、免許証、(自宅の)玄関の写真を送れ』みたいな。
とりあえず送っておくかみたいな感じ。この時点でも犯罪だとわかってたんですけど、もう連絡取っちゃったし、仕事の依頼も受け取ったし」
各地で強盗事件が相次ぐ中、指示役をやって捕まったという少年もいた。

少年(19) 強盗予備 邸宅侵入
「強盗することにあまり罪悪感を感じなかった。流される雰囲気もあった。被害者の気持ちが考えられない部分がありますね、相手の気持ちというか。自分さえ良かったらいいみたいな考えが結構強くて」
傷害事件を起こして収容された17歳の少年は…

少年(17) 傷害
「彼女との喧嘩で、首絞めたり、押さえたり。すぐにイライラしたりとか、手が出たりとかしてしまいます」
少年のIQは「70台」。境界知能に該当する。小学生のころから落ち着きがなく、精神科のカウンセリングで、発達障害の可能性を指摘されたが、本人や家族に自覚はなく、公的な支援につながることもなかったという。

少年(17) 傷害
「仲間外れにされたりとか、いじめられたり。先生に相談しても、『そうなんか』で終わらせられたり、相手にされなかったんですよ、そもそも。大人が信用できなくなりました」
収容されたころに書いた日記には少年院生活への不安が綴られていた。

少年が書いた日記
「前向きに生活をしていますがどうしたらいのか分かりません」
「助けのもとめ方が分からないです」
この日、少年の個別面接が行われた。

少年「たまに自分が分からなくなりますね。真面目にしたいのか、悪い道に進みたいのか。不安になってくるんですね、考えただけで」
教官「でも不安を感じるってめっちゃいいことだよね」
少年「そうなんですか?」
教官「ちゃんとやらなきゃいけないんだっていう気持ちがあるからでしょ。まだ自分を何とかしようという気持ちが心にあるから、だからいいんや、不安って」

塩尻智也 法務教官
「生い立ちのこと、今後自分がどういう風に生きて行きたいのか、ろくに考えずにここまで来ちゃってるので。ちょっとずつでもほぐしていかないと、彼らは自分自身になかなか向き合うことができない」