鈴木知事は11月13日、JR東静岡駅南口に移転が計画されている静岡県立中央図書館を視察しました。事業費が大幅に増額となる中、建設工事に関する入札に事業者の参加申請がゼロだったことが新たに分かり、県の大型事業に暗雲が立ち込めています。
鈴木知事が11月13日視察したのは、静岡市駿河区にある県立中央図書館です。建設から55年ほどが経過し老朽化などの問題が深刻化したことで、2017年度にJR東静岡駅南口の県有地に移転する方針が決まりました。
鈴木知事は館長から施設の現状について説明を聞き、実際に閲覧室や書庫を見て回りました。
<静岡県 鈴木康友知事>
「老朽化は大変だなというのはきょう見て実感いたしました。ですから、新たな施設に移行するのはやむを得ないというふうに思いますが、県民の皆さまの税金でつくるものでございますので、全県にきちんとサービスが行き届くような仕組みを強化していかないといけない」
<県政担当 坪内明美記者>
「JR東静岡駅南口です。県立中央図書館の建設が予定されているのは、こちらのエリアです。計画を知らせる看板も設置されています」
新しい中央図書館は、城郭をイメージした鉄骨造りの9階建てで、内装には県産の木材をふんだんに使う設計です。県によりますと書籍の収蔵数は200万冊で現在の2倍以上になるといいます。
一方、気になるのは事業費です。県は2024年、総事業費について資材費や人件費の高騰などを理由に当初の見込みよりおよそ100億円増額し298億円に修正しました。さらに、11月13日午後には…。
<静岡県 新図書館整備課 金嶋克年課長>
「札を入れてもらって、金額が折り合わないという想定はあるのかなと考えていましたけど、入札参加が1社もなかったということは残念であり…」
県の担当課が会見を開き、建設工事に関する入札の結果が発表され、事業者からの参加の申請がなかったことが分かりました。大阪万博をはじめ、多くの工事に業者が取られ、働き方改革などもあり人手不足が影響しているとみられます。
<静岡県 鈴木康友知事>
「かなり技術者の数が、今タイトであるということで、これからどういう風に対処していくかということについては、しっかり教育委員会と詰めていきたいと思います」
県は今後、事業者にヒアリングして不参加の理由などを分析し、再発注に向けて準備を進めるということです。開館時期は、2028年夏の予定からさらに遅れる恐れがあります。