
――次は『トイレ』についてです。地震で水が止まったら、お風呂に溜めておいた水を使ってトイレを流すことは正しいのでしょうか?
「これはよくないです。お風呂にお水をためることもあまり推奨ではなくて、水を溜めていてもすぐヌメヌメになってしまいますし、まずトイレを流すということがあまりよろしくないです。トイレ自体が見えないところで被災をしていて、配管が割れていたり、ずれたり詰まったりしている可能性があります。汲んだ水で流したところで、タンクまでし尿は落ちないんですね。そうなると、途中で誰かの家の壁から染み出てきたりとか、集合住宅の1階・2階・3階の場合、詰まって爆発したというケースもあります。なので、今はお水を流すのではなくて、違うものを使ってトイレをしていただいています」


――ではどうすればいいのでしょうか。例えば100円ショップなどでも入手可能な『簡易トイレ』(便器にかぶせる袋と凝固剤がセットになったもの)はもちろん使えますが、人は緊張すると1日に10~12回もトイレに行くということです。災害時は精神が不安定になり、トイレに行く回数も増える可能性があるので、意外とお金がかかります。そこで辻さんが教えてくださるのが『災害用トイレ』です。こちらも100円ショップで揃うゴミ袋・ペットシーツや新聞紙を使い、安くて快適な災害用トイレができるということです。簡易トイレセットの5分の1程度の値段で作れるということです。どのように作るのでしょうか?
「まず用意するものは、100円ショップで売っているペットシーツです。8枚で100円というものもあります。高分子ポリマーが入っているペット用のおしっこシート。そして、便座が壊れていないことが前提ですが、45リットルのゴミ袋を便器に2枚重ねます。その中にペットシーツを敷きます。ペットシーツは片方が撥水面、もう片方が吸水面になっていますので、吸水する側を外にしてたたんで敷きます。その上にちぎった新聞紙を入れます。新聞紙は消臭効果もあり、少しの吸水もあります。また、排泄物が見えちゃうのも少し嫌だと思いますので入れてください。そして、便座を下げて用を足します」
――用を足して、そのし尿が見えていると嫌なので、そういうときは新聞紙を足していくんですね。隠す、臭いを抑えるという意味で。これが満杯になったら、上の袋だけ処分するということですね。袋は二重にしているので、上の袋がトイレの水で濡れているということはないわけです。捨てたら、もう1回また袋をかぶせておいて、同じことを繰り返すと?
「シートはだいたい380~420ミリリットルぐらいの水分を吸収します。1回の成人男性の尿の量は十分受け止めてくれるので安心してください。用を足した後は燃えるごみとして捨ててください」














