「プーチン大統領は秋、確実に一手を打ってくる」


―――ロシアは日本に対して「窓を閉じつつある」ということなんですけれども、これは?

安倍元総理とプーチン大統領の関係がありました。なぜ安倍さんがプーチン大統領との関係を良好にしようと思ったかというと、もちろん北方領土問題もあるんですけども、ロシア側が、対中依存度を深めたくないんです。シベリア極東開発で中国に思うようにするのはやはりよろしくない、バランサーとしての日本ってのは必要だと思います。

ところが今回、日本も非友好国になりましたので、「窓を閉じつつある」というのは、まず平和条約交渉、これ停止しております。漁業交渉、ビザなし自由枠組みも閉じつつある。サハリン2もポイントになるんですが、ここまで閉じていくと、やはりその中国べったりにならざるを得ない、これはロシアにとっては良くない状況なんですけれども、ウクライナ侵攻でもう選択肢がなくなっているんだと思います。

―――今後のロシア、5つの可能性を先生に挙げていただきました。①国家総動員令②西側諸国のゼレンスキー疲れを誘う③友好国との協力を強化④ザポリージャ原発を「人質」⑤大量破壊兵器・戦術核の使用の選択肢。10月から11月はぬかるむ季節で、進軍速度は両軍ともに遅くなる、だが「プーチン大統領は秋、確実に一手を打ってくる」ということですが?

②(西側諸国のゼレンスキー疲れを誘う)は、既にもう狙っていますね。私、以前に冬将軍と言いましたが、凍えあがらせるのはヨーロッパの各家庭です。つまりエネルギー供給を停止して、ウクライナの支援を滞らせる、その国の政府に対してウクライナを支援すると、自分たちの光熱費も上がるし、冬寒くなるかもしれないということを狙っている可能性がある。すでに確実だと思います。

そして③(友好国との協力を強化)は、CIS=旧ソ連諸国、そしてベトナムとかミャンマー、アルゼンチンやブラジル。ロシアの協力国を増やしてエネルギーを安く売りますよ、武器を安く売りますよ、原発もやりますよとやって、支援の継続を長期化させる。つまり支援をいただくことによって、戦争継続のための資金を得ていく、これも外交としてやっていくんではないかなと思います。

そして④(ザポリージャ原発を「人質」)危険な賭けをすることによって時間稼ぎをする。サイバー攻撃があったり、不確実性の高いものを使う可能性もあります。①(国家総動員令)と⑤(大量破壊兵器・戦術核の使用の選択肢)は少し怖い、キナ臭い状況だと思います。