プーチン大統領が「忖度」した相手

――中ロ首脳会談でプーチン大統領は「ウクライナ危機における中国のバランスが取れた姿勢を高く評価する」と述べ、習近平国家主席は、「我々はロシアとともに変動する世界を発展へと導く主導的な役割を果たす用意がある」と話したそうです。佐々木先生によりますと、「のどから手が出るほど支援が欲しいロシアは『一つの中国』の原則を支持。ここまではっきり台湾問題の発言をしたことは初めてではないか」踏み込んだ発言があったということですか?
はい。忖度したということです。中国では10月に共産党大会、大事な人事があります。プーチン大統領にしてみれば、援軍が欲しい、経済的苦境になりかねないので、中国側、例えば半導体が手に入らなかったりとか、エネルギーをもっと買ってくれということを言いたいんだけれども、中国側に配慮を示した一つにこの台湾問題というのがあった。
私ずっと長く中露を見てきたんですけれども、冒頭のメディアにオープンにされたところで言ったのは、私記憶にないんですよ。もちろん2人で話し合うときや、外交文書を交わすときに「一つの中国」を確認し合うことはあるんでしょうが、それがクローズアップされるというのはこれは忖度していると。「バランスが取れた姿勢」という言葉も、これは習近平国家主席がですね、話し合いによる解決を求めているということですので、この発言も習近平国家主席に配慮をしていることになると私は思います。
―――習近平国家主席ですけども、佐々木先生によると「反米連合を築きたい中国だが、今回の侵攻で弱いロシアにショックを受け頼りにならないと考えているんじゃないか」ということですか?
2月に2人は会って、6月に電話会談もしています。2月の段階で「蜜月を強調」はあるんですけれども、今回のものに関しては、裏にある不協和音の匂いを非常に感じます。例えば「ロシアとともに変動する世界を発展へと導く主導的な役割を果たす用意がある」本当はプーチン大統領は、もう少し前のめりになってウクライナへを軍事支援するようなことをやって欲しいんですが、ここまでにとどまっている。
そして反米連合ということでは、少し言い方がきついんですが、ロシアはまだ味方なんですよね、使えるというふうに思っている。台湾有事があった際も、もしロシアとウクライナが戦っていれば、アメリカの目線をそらすことができる、ということでは一致できるんだけども、ここまでバランスを失ったロシア、そして弱いロシアを見せつけられて、習近平国家主席の「心やいかに」というふうに私は感じます。
―――中国は、軍事的な支援はもうできないという感じですね?
ウクライナの戦地でイランのドローンが見つかったという報道があるんですよ。もし中国語の武器などがあれば、制裁を破って、ロシアに支援しているということになりますので、なかなか表立ってはできない。ただこの2人もメディアにオープンのところではないところで話し合っていますので、本当は何を話し合ってるかはわからないです。














