「『ごめんなさい』法廷で突然の涙、心情変化のワケ」
残忍な犯行の様子を淡々と語る永田被告の表情が一変する場面があった。遺族や被害者に対しての気持ちを問われた時だ。
「言葉にならないです。本当に『ごめんなさい』としか言えないです」
涙をこらえ、絞り出すような声だった。被害者のことをまったく考えない残忍な暴行の実態を淡々と話す永田被告と、涙ながらに謝罪する永田被告。同じ人物とは思えないほどの変化だった。
永田被告の心情は、なぜ変わったのか。

逮捕からおよそ半年後の去年8月、報道陣のカメラに向かって、威嚇するようなしぐさをとった永田被告。「長く刑務所にいるくらいなら死んだ方がマシ」と考え、「死刑」になるため、取調べでも悪態をついていたという。
その気持ちを一変させたのが、拘置所で読んだ被害者や遺族の供述調書だった。広島市の強盗殺人未遂事件の被害者の調書には、こう書かれていたという。
「『(被害者は)お酒や釣りやテニスが好きだった。でも今はもうできなくなっている。こんな平和を奪った犯人は許せない。平和な日常を奪われた悲しみは一生続く。悔しくて、悔しくて、たまらない』と書いてありました」
さらに、事件を担当した警察官や検察官、拘置所の職員との会話が、自ら犯した罪の重さと向き合うきっかけとなった。
「相談に真摯にのってくれた。心配してくれた。更生と改善が大事だと教えてくれた。ありがたかった。自分にできることはなんだろうと考えました」
被告人質問で裁判員から、「やり直せるのならどこをやり直したいですか」と問われると、声を震わせながら「初めて犯罪をした時です。人のことを傷つけるだけの人生は嫌でした」と吐露する場面もあった。














